あの放課後、先生と初恋。
保険医である牧野(まきの)先生と唯ちゃんが、わたしの嘆きを聞きながら氷袋を当ててくれる。
連れられた保健室。
わたしの状況など気にも留めない声たちがグラウンドには変わらず響いていた。
「今日のMVPはおまえだってよ。よかったな皆木」
ガラガラとドアが開いて、今いちばん見られたくない人物がやって来た。
「“鉄棒で逆上がりしてる女子生徒、サッカーボールを食らう”って見出しで校内新聞に特集されるかもな」
「ふふ。時の人になれて良かったじゃない、皆木ちゃん」
「ニーナはある意味でとっくに時の人ですよ。吹部のめげない強心臓って」
………いじりすぎじゃない?
みんな揃ってこの期に及んで調子に乗りすぎじゃない?
「先生、やっぱツーショットだめ?100回の半分だから、半分だけ映るツーショットとかでも我慢するよっ」
「心霊写真だろそれ」
「残念ニーナ。じつは49回で落ちてる」
「なっ、こら唯ちゃん……!!それは言わない約束なのにっっ」