あの放課後、先生と初恋。
ごめんね、牧野先生。
赤い糸はちょきんっとわたしが切らせてもらいますよーっと。
コロコロと忙しく表情が変わるわたしを楽しむだけ楽しむと、牧野先生は前髪を掻きあげながら後輩へと。
「撮ってあげたらどう?さすがに球技大会の思い出が顔面キャッチで終わるのは可哀想よ」
「……………」
えっっ!!
なんと牧野先生が救いの手を……!
「…約束は約束だ。惜しかったな、皆木」
「そんなあ~…」
世の中そんなに甘くねえぞ、と。
シャバをナメんなよ、と。
わたしは項垂れまくる首を下げて、自分のスマートフォンを操作する。
無意識にもカメラモードを起動させて、せめて盗撮してやろうと先生に向けた……の、だけれど。
パシッと取り上げられてしまったスマートフォン。
「一応は今も授業中だっつーの。スマホは校則違反」
「うぎゃっ!バレた…!ごめんって先生っ、返して…!」