あの放課後、先生と初恋。
────カシャッ。
…………え?
「俺は下手くそな音吹いてるおまえのほうが……いいわ」
「えっ、わっ」
ほらよ───と、わたしの手に戻された長方形。
スッと、視線を落としてみる。
アルバムに保存されている、新しい写真が1枚。
「鉄棒、よくできました。部活もそんくらいの根気で絶対めげんなよ。…それと手、お大事に」
「……………」
手を伸ばすちっちゃなわたし。
手前を歩く先生はなんと、インカメラに向かって気だるげにピースサイン。
無表情イケメンのピースサインとか拝めますけども。
それになんとも言えない絶妙な遠近法がまた……。
「きゃーー!せんせっ、先生とのツーショット!!うそっ、撮っちゃったよとうとう…!!なんっつうご褒美だ……!」
加工なんかされてないし、わたしの顔どうにかならないのって思うけど。
こんなこともサラッとやってのける、さすがすぎる未来の旦那さま。
ほらサッカーボールの痛みなんて吹き飛んじゃうね、やっぱり。