あの放課後、先生と初恋。

鉄の女





「それで?一応は吹けたの?」


「……すっごい思いきって吹いたら盛大に音を外しまして…」


「…うわー…」


「まあ……あとはお察しの通りでございます」



それはそれはひどかった。

唯ちゃんがどっちを想像したかは分からないけど、まあそういうことだ。


3年生を送る会はなんとか幕を閉じたものの、同級生と後輩には今まで以上に敵を作るハメになった今回の出来事。



「にいな」



そのとき、わたしのクラスに吹奏楽部のとある3年生が顔を出した。

すぐにわたしは箸を置いて部活モードに切り替えて、駆け寄る。



「先輩!どうかしたんですか…?」


「これ、よかったら譲ろうと思って」



トロンボーンパートのパートリーダーでもある落合(おちあい)先輩は、手に1冊のノートを持っていた。

どうにもわたしにくれるようなのだけど、すごく年季が入ってるっていうか……付箋だらけだ。



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