あの放課後、先生と初恋。

頑張る理由





「いちっ、よんっ、3伸ばす、また1で止める!そしたら4!」


「…うわっ」


「あ~、またやっちゃったね」



カランカランカランと、スライドが落ちる。

これは初心者がやりがちな初歩的なミスらしく、そうならないようにすることしか改善策はないという。


夏休みに入って、さっそく数日目。


そこは球場の裏側。

わたしの練習に付き合ってくれているのは落合先輩だった。



《ハルトだっけ、にいなのボーンの名前。明日の応援にハルト持ってきてね》



そんなメッセージがあったのは昨夜のこと。

わたしはメガホンで声出し係だと思っていたから、落合先輩の言葉にはびっくりした。


試合開始まであと1時間。


それまでずっと、落合先輩はわたしの指導に回ってくれていた。



< 67 / 268 >

この作品をシェア

pagetop