あの放課後、先生と初恋。
頑張る理由
「いちっ、よんっ、3伸ばす、また1で止める!そしたら4!」
「…うわっ」
「あ~、またやっちゃったね」
カランカランカランと、スライドが落ちる。
これは初心者がやりがちな初歩的なミスらしく、そうならないようにすることしか改善策はないという。
夏休みに入って、さっそく数日目。
そこは球場の裏側。
わたしの練習に付き合ってくれているのは落合先輩だった。
《ハルトだっけ、にいなのボーンの名前。明日の応援にハルト持ってきてね》
そんなメッセージがあったのは昨夜のこと。
わたしはメガホンで声出し係だと思っていたから、落合先輩の言葉にはびっくりした。
試合開始まであと1時間。
それまでずっと、落合先輩はわたしの指導に回ってくれていた。