あの放課後、先生と初恋。




「皆木にも吹かせるのか」


「はい。簡単なフレーズだけですけど、思い出にもなるかなって」


「…まあ、皆木にとってはやり甲斐はあるよな」



移動しながらもサラッと、落合先輩と話す先生の隣を歩いた。

先生はどこに座るかな…?
わたしの近くだといいなあ。


そのとき、ちょうど野球部も同じようにわたしたちに近づいてきた。



「あのっ、先輩、」


「…んー?にいな、もっかい合わせてみるよ」


「いやっ、野球部が!」


「ほら、やるよ。野球部は野球部、あたしらはあたしら」


「あああ!はい!!」



わたしたちの横を素通りしていく高校球児たち。

お互いに気づいてはいるはずだ。

けれどとくに人前で関わり合うようなことはしない。


だがしかし、わたしは知っているのだ。


あなたたちが野球部の部室裏で熱い熱い抱擁を交わしていたことをね……!!



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