あの放課後、先生と初恋。




「にいな~、ご飯できたわよー……って。ふふ、……いつもお疲れさま」



それから野球部は準決勝も延長戦ののちに勝ち抜き、とうとう決勝にまで上り詰めた。

球児たちの顔つきも甲子園に近づくぶんだけ凛々しくなって、貫禄が半端じゃなくなっていく。



「すごいひと……」


「ね、びっくりするよね」



決勝というだけで、こんなにも物理的に違うんだ…。

スタンドは見渡すかぎり隙間がない。

圧倒されそうなマウンドで試合をしている野球部は何者なんだ。



「あたし、中2のときにこの町に引っ越してきたの」



今は相手の攻撃。

その最中はわたしたち応援は座って見守る。


鈴高のフォントが書かれたキャップを被って、わたしの隣で教えながらもリードしてくれていた落合先輩は。


ショートを守る背番号6番のソーマ先輩を見つめながら、口を開いた。



< 72 / 395 >

この作品をシェア

pagetop