あの放課後、先生と初恋。
「にいな~、ご飯できたわよー……って。ふふ、……いつもお疲れさま」
それから野球部は準決勝も延長戦ののちに勝ち抜き、とうとう決勝にまで上り詰めた。
球児たちの顔つきも甲子園に近づくぶんだけ凛々しくなって、貫禄が半端じゃなくなっていく。
「すごいひと……」
「ね、びっくりするよね」
決勝というだけで、こんなにも物理的に違うんだ…。
スタンドは見渡すかぎり隙間がない。
圧倒されそうなマウンドで試合をしている野球部は何者なんだ。
「あたし、中2のときにこの町に引っ越してきたの」
今は相手の攻撃。
その最中はわたしたち応援は座って見守る。
鈴高のフォントが書かれたキャップを被って、わたしの隣で教えながらもリードしてくれていた落合先輩は。
ショートを守る背番号6番のソーマ先輩を見つめながら、口を開いた。