あの放課後、先生と初恋。
間違ってない。
どんなに吹奏楽のことを分かっていて、どんなに指導力があったとしても。
あんなことを言われる筋合いなんかないし、あの人だってあんなことを言う筋合いもない。
「なら、俺はおまえの味方でいてやる」
顔が歪む。
くしゃっと歪んで、ひどい顔をお披露目しちゃう。
「泣くか」
「っ、泣かねえ!!」
困ったように眉を寄せた先生は、わたしにひとつ約束してくれた。
「そう簡単に諦めさせねえよ。そもそもおまえの辞書に“諦める”はないだろ」
「…………もう好き。わたし頑張るから、ぜったい結婚しようね先生」
「…ふっ。おまえはそれでいいわ」
「えっ!受けてくれるってこと!?」
「…とは、言ってない」
えへへっと、相変わらずな返答に笑顔があふれる。
わたしの愛になびかない鉄壁。