あの放課後、先生と初恋。
苦しい嘘
「ほら、にいな!」
「…ん?」
「これ、お弁当。今日も部活でしょ?夜遅くまで頑張って偉いわね~」
「……ありがとう、お母さん」
渡されたお弁当箱を受けとる。
もうすぐ吹奏楽部は県代表を懸けた本選大会のため、朝から晩まで部活一色だった。
わたしも基礎ではなく、今では少しずつ曲を吹けるようにもなって、やっとそれっぽくはなってきている。
「お母さんも忙しいんでしょ?あまり無理しないで!」
「ふふ、お母さんはパワフルだから大丈夫よー」
「わたしもパワフル!」
印刷会社で働いているお母さんは、どうにもこの町の新聞製作を担当しているらしく。
行事が盛りだくさんな夏はとくに忙しくなる。
いっしょに玄関で靴を履いて、わたしは部活、お母さんはお仕事へ。
────と、ピンポーンとちょうどインターホンが鳴った。