あの放課後、先生と初恋。
「はあ~い」
確認せず開けちゃうところ、お母さんのよくない癖だ。
せめてドアスコープからは覗こう…?
不審者だったらどうするの?
母子ふたりマンション暮らしなんだから、なにがあるか分からないんだよ?
「あ、隣に引っ越してきたイチウラと言いま………」
「あらあら!わざわざどうも~。うちは賑やかですが、よろしくお願いします~」
「────えっ!!?!?」
朝から大声を出したわたしに、さっそくお母さんが新しいお隣さんへと頭を下げる。
けれどもわたし、偶然すぎる奇跡にそれどころじゃなかった。
「先生!?!?うそっ、ええ!どうして…!!」
「え、先生…?」
「お母さん!わたしのクラスの副担任の先生だよっ!ほらっ、若くてイケメンが来たって言ってたじゃんっ」
「あっ、やだあ~!先生だったの!ええっ、先生、これこれはお世話になっております~!皆木 にいなの母です」
一浦 遥人、お隣さんに引っ越してきた件。
先生もかなり驚いているみたいで、賑やかな母娘についていけないようだ。