これが最後の恋だった

「ゔわぁ゙!!」
「おー、気づいたか。」
「蒼ちゃん。やっと俺の愛に答える気になったのね?」
「ちゃうわ、ボケ!」
「ボケって言った……ボケって…」
 落ち込んだ廉君はそっちのけで、呆気に取られている私に向かって蒼太君は説明した。

「こいつってさ、感情を素直に表に出すやろ?それはそれでええんやけど、厄介な事があって……」
「厄介な事?」
「あんまり感情的になると、ホンマに固まってしまうねん。さっきみたいにさ。せやからそういう時は俺が抱き締めてやると元に戻るんや。」
「へぇ~凄いんだね。やっぱり二人は深いところで繋がってるんだね。」
「そ、そうかな……」
 尊敬の眼差しを送ると照れる蒼太君に内心苦笑した。

「ちょいちょい!二人して俺を置いてくな~!」
「あ……ごめん。」
 廉君が泣きベソをかきながら抱きついてくるのを上手く交わした蒼太君を見ながら、私は口を開いた。
「あのさ、もう一つ話があるんだけど。」
「あ、そうやった!忘れとったわ。もう、廉のせいや。まったくお前は……」
「だから!例の話をしに来たんでしょ。」
「……はい。」
 一睨みすると萎縮してしまった。

(そんなに恐いかな、私。気をつけよう。)

「例の話ゆうのはな、加奈子の事や。」
「加奈ちゃんの事?」
「せや。実はな、加奈子の友達な、影で加奈子の悪口言うとるんやって。せやから俺らの仲間っつぅか、友達にならへん?って提案したんや。」
「そいで?加奈ちゃんの返事は……?」
「もちろん、OKよ。」
「……やったーーー!」
 笑って頷いてみせると、私の両手を取って万歳をする。その時の笑顔が凄く輝いていて思わず顔が熱くなった。

(何だろう……?こんなに温かい気持ちになったのは初めて。)

 蒼太君に対する感情とはまた別の感情が芽生え始めていた。

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