これが最後の恋だった

 裏庭に着くと、私は振り向かずに言った。顔を見てしまうと言えなくなっちゃいそうな気がして……
「蒼太君の事……ずっと前から好きだったの。」
「……は?」
 突然の事に驚いている。それはそうか。他の女子達みたいにそんな素振り、少しも見せてこなかったから。

「……」
 沈黙が続く。どうしたの?早く振りなさいよ。これまでたくさんの女子達に告られてきたんでしょ?それで全員振ったんでしょ?早く私の事も振ってよ。そして諦めさせてよ。
 そんな事を思っていると、思いがけない返事が返ってきた。

「俺、好きな人おるから。ごめん。そうや!俺より廉の方がええ奴やし、そっちにしとけば?」
「は……?」
 何?どういう事?好きな人がいるという事よりも、何でそこで廉君が出てくるのかわからずに思わず振り向いた。
 目に飛び込んできた蒼太君は笑っていて、頭に血が上る。

「バカにしないで!あたしは本気で蒼太君が好きなの!廉君じゃない!」
 そう言い捨てると呆然としている蒼太君の横をすり抜けて教室へと走った。走って走って……気がついたら廉君の入院している病院の前にいた。

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