眩しい君の隣へ。

たぶん違うって分かってる。

「おはよ! 一花今日空いてる?」



そんなことを,廊下のど真ん中で若槻が言うから。

その場にいた全員が,大きく反応した。

呆れて,私は数秒,答えずにいる。



「空いてるけど」



多分。



「じゃあ,ラーメン行こうよ,豚骨」

「いいよ」

「いいの?!」



もう無いと思ってたし,無くて良いと思ってたけど。

こんなところで断ったら,私の学校生活にもまた支障がありそうだ。



「その後もどっかいこうよ」

「いいけど」



私の時間は,人よりきっと多い。

勉強くらいしか,することがない。

持て余す時間をいくら人に取られたからって,なんの問題もない。



「んじゃあ俺がラーメン奢るよ」

「…そう」



明の愛は,たぶん違うって分かってる。
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