眩しい君の隣へ。

君の優しさが染み込んで。

カウンターでラーメンをすすりながら,私は考えていた。

対等に人と話すこと。

それは付き合っているはずの明とも出来ないこと。

明は優しい。

私を好きだと言って,求めてくれる。

お昼に出掛けたいと言えば,出て来てくれる。
だから私も



『私が払うよ』



って,明が求める言葉を使う。

でもそれは違うんだなって,若槻といると見せつけられるみたいで。

すごく嫌だ。

仮初めでもいい。

そのはずなのに,どうしよもなく叫びだしそうになる。

こんなの求めてないって,そんなはずないのに。

私は,明が好き。



「若槻」

「ん?」

「痣のこと,言わなかったんだね」



食べ終わったラーメンの,スープを飲む。

若槻は数秒,何も言わなかった。

私は気になって,特徴的な形のお皿を置く。



「…ぶつけたんでしょ?」

「うん…そうだった」



そんなこと,言ったんだった。

私はもう,取り繕うことなく言いきって,またスープをごくりと飲んだ。



「食べ終わったらゲーセンいこ。夜のゲーセンってドキドキするよ」

「いいよ」



温かい豚骨スープは,若槻の優しさそのものみたいだった
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