眩しい君の隣へ。

同級生のお友達。

身長の高い,黒髪ロングの美人。

そんな風に呼ばれていることを知っている。

口数は少なく,頭も悪くない。

運動だって,人より出来る。

私を形作る要素は,いつも人間関係で裏目に出た。

同性も,異性も。

友達なんていた試しが無い。

私のことを,好きだといってくれるのは,ただ1人だけ。

たった1人の家族も,他人もなにも変わらない。

猫目の大きな目は,余計に人を寄せ付けないようだった。



「重い…」



運悪く,日直だった私。

数学のワーク回収を,授業中に命じられてしまった。

個別に声をかけないと出さない人のせいで,時間もかかった。

とにかく職員室までが遠い。

階段の最後の一段を下りた時,そこそこ大きな衝撃が私を襲う。

何事かととっさに目を閉じたとき,しまったと思った。

予想通り,出席番号順に並べていたワークは,私を囲むようにバラバラと散らかる。



「いっ……前,ちゃんと見て」



私の生まれながらの硬質な声が,誰もいない階段に静かに響く。

少しの柔らかみもない言葉と声に,またかと私は思った。

私は前を見て,ゆっくりと歩いていた。

そして,死角から誰かが飛び出てきた。

ただ,それだけの話だったけど。

この場合,相手が不機嫌になるか,恐々としながら謝られるか。

その2択。

どちらも望んではいない。

私は取り敢えず,落ちた荷物を拾うことにした。

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