眩しい君の隣へ。

友達ってなんだろう。

「ねぇ,どこいくの」



自転車を何処かに置いてきたらしい若槻が,私に尋ねる。



「どこでも」



私は短く答えた。

放課後に誰かといる。

それは,中学の頃,憧れていたことだった。

もうそんなことは思っていないけれど,形だけの友達でもいいから,叶えたかった。



「じゃあ,公園近いし,あそこのクレープでも食べる? んまいよ」

「彼氏みたいなこと言うんだね。私別にデートがしたい訳じゃないんだけど」



だから王子様なんて夢みられるんだよ。

あぁ,私,そんな形のデート,したことないや。



「そんなつもりじゃなかったんだけど。一花さんはいや?」

「一花で良い。美味しくなかったら文句言うけど」
「じゃ,いこ」



若槻が選んだのはバナナチョコで,私はイチゴチョコだった。

無難かと思ったから。

人気の無い公園のベンチはがら空きで。

私達を待っていたかのように,そこにあった。



「うまいでしょ?」



若槻が自慢げに言う。

私はそれを一瞥して



「初めて食べたけど,まぁ」



そう答えた。

甘いものは苦手じゃない。

ケーキもお菓子も大好き。



「あのさ,友達って何?」



口の端の生クリームを親指で拭いながら,高槻は言った。

納得も出来てないのに着いてくるなんて,予想通りのお人好し。



「知らない。ただ放課後一緒に出掛ける,そうゆうのに興味があっただけ」



どんなものか,答えはでなかったけど。

暇を感じなくて,いいんじゃないかと思う。

クレープの味を知った。

それだけでいい。
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