眩しい君の隣へ。

愛をくれる人。

「……っ」



いつものことだけど。

やっぱり,痛い。

呼ばれたのが家だった時点で,こうなることは分かってた。

散らかった,狭くて暗い部屋。

いつもの倍荒れている,明《あきら》

まさかこうなるとは思わなかった。

異性と居たところで,気にしないと思ってた。 



『ごめん,今日制服のまんま』

『別に,服なんて意味ないし』

『そっか』

『どっか行ってたの?』

『学校の男子と,ふらふらしてただけ』



私がそう答えた時だった。

藤堂 明(とうどうあきら),彼が目をカッと見開いて,キレたのは。



『一花は俺の彼女なんでしょ』



いつも通り雑に脱がされて,いつも通り,慣れない時間が始まる。

いつも通り,何度経験しても,意味分からないくらい痛い。

でも,そうゆうもの。

いつも通り目を閉じて,現実をなんとか凌ぐ。

固いベットにも身体が悲鳴をあげたけど,シーツに爪を立てるようにしがみついて,耐える。

その時が終わるまで。



『好きだよ,一花』



最後のその言葉を待っている。



「…っあき,ら。ごめん,ちょっとだけまっ…」



明は多分,ヘタクソ,だった。

私を前提に考えてしてないからかもしれないけど。

もしかしたら痛み以外を感じたことの無い私がおかしいのかもしれないけど。

ピタリと明の動きがとまる。

明のそれは,私から離れた。

ほっとするのもつかの間に。



「いつもそんなこと言わないじゃん」



失望したような声が落とされる。

ハッと現実に戻ったときにはもう遅い。

萎えたとでも言わんばかりに,私を置き去りにして。

服を着た明は,家を出ていった。

ずるずると起き上がった私は,両手に顔を埋める。

どうして…

今まで,こんなことなかった。

明が怒る度,痣が増えても。

かすり傷と同じように,慣れるのは早かった。

あれが,痛くても。

1人の男子の顔が浮かぶ。

私は唇を噛んだ。

捨てられたら,だめなのに。

お母さんさえくれない愛をくれるのは,明だけなのに。

私は身体を整えて,部屋の片付けを始めた。

食べたまま,置き捨てられたコンビニのプラスチック。

何度も着て洗われない洋服。

どれも中途半端に飲んだ,ペットボトル。

それらを片すのは,私の仕事。

久しぶりだったから,たまってるなぁ。
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