さよなら、わたしの初恋
◇
完全に酔っ払っていたはなびを家まで送り届けることはほぼ困難に近かったけれど、何とか住所を聞きだしてたどり着けた。
「はなび、鍵ちょうだい」
はなびをおんぶして結構な距離を歩いたから、正直体がもたない。
「んー、」
はなびはうなるだけで鍵を差し出してくれない。
「ごめん、これは鍵を取るためだから……」
一度断りを入れてからはなびのショートパンツのポケットに手を忍ばせると、鍵の触感がした。
……やっぱりな。ズボンのポケットによく家の鍵を入れるところは昔と変わってない。
ドアの施錠を解き、はなびの部屋にお邪魔する。
廊下を進み、リビングダイニングに入る。
寝室はどこだろうと辺りを見回すと、扉が空いている部屋からベッドが見えた。
俺はすぐにその部屋に入り、ベッドにはなびを寝かせる。
はなびに布団をかけて、寝室から出る。
これからどうしようかと考えていると、どうしようもない喉の渇きを覚えて、財布を手にコンビニへ向かった。
はなびが住むアパートに近いコンビニで天然水を買い、急いで戻った。
遠慮気味にドアを開け、中に入る。
これ、普通に考えたら不法侵入だよな……。はなびに訴えられなきゃいいけど。
少し心配しつつ、台所に半分以上飲み干したペットボトルを置いた。