政略結婚した夫の愛人は私の専属メイドだったので離婚しようと思います
7-3 ミラージュの正体
「落ちてみるわけないでしょうっ!?」
本気で言ってるのだろうか? これではまるで殺人だ。
「ほら。貴方たち、やりなさい」
リーゼロッテはフットマンたちに命じる。
「い、嫌ですっ!」
「そ、それだけは……!」
半べそで拒否するフットマン達にリーゼロッテは恐ろしい声で怒鳴りつけた。
「いいの? この女を生かしておいて。こんなにはっきり顔を見られているのよ? いっそ殺ってしまった方が良いでしょう? もし生かしておいたら王女を拉致した罪で処刑されるかもよ?」
「わ……分かりました」
「仕方ありません……」
えっ!? そんな簡単にこの女の言う事聞いちゃうのっ!?
2人のフットマンは私に近付くと、足と上半身を掴んでヒョイと持ち上げる。
「ちょ、ちょっと! 何するのよ! 本気で落とす気っ!? ねぇっ! 冗談よねっ!?」
芋虫状態の私は必死でじたばたもがくも手も足も出ない。……まあ被せられた袋ごと縛られているので無理も無いのだけど。
「すみません……すみません……」
「死んでも化けて出てこないでくださいね……」
2人のフットマン達は私の言葉が耳に入らないのか、持ち上げたまま歩き始める。そして滝のざあざあと流れる音は激しさを増し、辺りの空気がひんやりしてきた。滝のしぶきが空気中に飛び散っている為だ。
うう……何とかしなければ、彼らは本気で私を滝の下に落とすつもりだ。
チラリと見ればミラージュが入って行ったと思われる山が真っ黒なシルエット姿でそびえ立っている。
そして……ああ! つ、ついに……滝に到着してしまった。
「よ……よし!」
「い、いくぞ……!」
2人のフットマンは私を落とす為に呼吸を整えている。
「よしも、いくも無しだってばっ!」
しかし私の訴えもむなしく……。
「「そ~れ~っ!!」」
ポイッ!
とうとう放り投げられてしまった。
「キャアアアアッ!!」
た、高いっ! な……何て高さなのっ!?
ごうごうと響き渡る滝の音……私は必死で叫んだ。
「ミ……ミラージュッ!! 来てーっ!!」
すると――
ゴオオオオッ!!
大地を揺るがす激しい咆哮が響き渡り、巨大な黒い塊が一瞬で私の目の前に現れた。
「ミ……ミラージュッ!!」
ミラージュは私を背中でキャッチすると、そのまま空高く飛んだ。
それを真下から見上げて叫ぶ3人の人影。
「キャアアッ! な、何っ!? あの生き物はっ!!」
リーゼロッテが叫んでいる。
「アワワワワ…ッ!! あ、あれは……っ!」
「ド……ドラゴンだっ!!」
ゴオオオオッ!!
ミラージュは本来の姿であるドラゴンに戻った。もう、こうなったら誰も彼女を止められない。
彼女は青く輝く美しい巨大なドラゴンだ。やっぱり背中の上は落ち着く。大きな翼を広げ、ミラージュはグルグル上空を旋回すると、口から超音波を発生させた。
本来のドラゴンの姿で発する超音波のその凄まじさときたら、ただ事でない。
キーンッ!!
あたりの空気は震え、木々はなぎ倒され、鳥は飛び立ち動物たちは逃げまどい……そして地面には口から泡を吹いてひっくり返る3人。
<レベッカ様……! あいつら……やってしまっていいですか?>
ようやく空を飛び回って落ち着いたのか、ミラージュが思念で語りかけてきた。
「う~ん……やめておきましょう。とりあえず気を失っているみたいだし、一緒に城まで帰りましょう」
<はい、2人で一緒に帰りましょう。それでは人間の姿に戻りましょうか?>
「そうね……月がとっても綺麗だから空を飛んで帰りましょう」
私はほんの少し考えると、笑顔で答えた――
本気で言ってるのだろうか? これではまるで殺人だ。
「ほら。貴方たち、やりなさい」
リーゼロッテはフットマンたちに命じる。
「い、嫌ですっ!」
「そ、それだけは……!」
半べそで拒否するフットマン達にリーゼロッテは恐ろしい声で怒鳴りつけた。
「いいの? この女を生かしておいて。こんなにはっきり顔を見られているのよ? いっそ殺ってしまった方が良いでしょう? もし生かしておいたら王女を拉致した罪で処刑されるかもよ?」
「わ……分かりました」
「仕方ありません……」
えっ!? そんな簡単にこの女の言う事聞いちゃうのっ!?
2人のフットマンは私に近付くと、足と上半身を掴んでヒョイと持ち上げる。
「ちょ、ちょっと! 何するのよ! 本気で落とす気っ!? ねぇっ! 冗談よねっ!?」
芋虫状態の私は必死でじたばたもがくも手も足も出ない。……まあ被せられた袋ごと縛られているので無理も無いのだけど。
「すみません……すみません……」
「死んでも化けて出てこないでくださいね……」
2人のフットマン達は私の言葉が耳に入らないのか、持ち上げたまま歩き始める。そして滝のざあざあと流れる音は激しさを増し、辺りの空気がひんやりしてきた。滝のしぶきが空気中に飛び散っている為だ。
うう……何とかしなければ、彼らは本気で私を滝の下に落とすつもりだ。
チラリと見ればミラージュが入って行ったと思われる山が真っ黒なシルエット姿でそびえ立っている。
そして……ああ! つ、ついに……滝に到着してしまった。
「よ……よし!」
「い、いくぞ……!」
2人のフットマンは私を落とす為に呼吸を整えている。
「よしも、いくも無しだってばっ!」
しかし私の訴えもむなしく……。
「「そ~れ~っ!!」」
ポイッ!
とうとう放り投げられてしまった。
「キャアアアアッ!!」
た、高いっ! な……何て高さなのっ!?
ごうごうと響き渡る滝の音……私は必死で叫んだ。
「ミ……ミラージュッ!! 来てーっ!!」
すると――
ゴオオオオッ!!
大地を揺るがす激しい咆哮が響き渡り、巨大な黒い塊が一瞬で私の目の前に現れた。
「ミ……ミラージュッ!!」
ミラージュは私を背中でキャッチすると、そのまま空高く飛んだ。
それを真下から見上げて叫ぶ3人の人影。
「キャアアッ! な、何っ!? あの生き物はっ!!」
リーゼロッテが叫んでいる。
「アワワワワ…ッ!! あ、あれは……っ!」
「ド……ドラゴンだっ!!」
ゴオオオオッ!!
ミラージュは本来の姿であるドラゴンに戻った。もう、こうなったら誰も彼女を止められない。
彼女は青く輝く美しい巨大なドラゴンだ。やっぱり背中の上は落ち着く。大きな翼を広げ、ミラージュはグルグル上空を旋回すると、口から超音波を発生させた。
本来のドラゴンの姿で発する超音波のその凄まじさときたら、ただ事でない。
キーンッ!!
あたりの空気は震え、木々はなぎ倒され、鳥は飛び立ち動物たちは逃げまどい……そして地面には口から泡を吹いてひっくり返る3人。
<レベッカ様……! あいつら……やってしまっていいですか?>
ようやく空を飛び回って落ち着いたのか、ミラージュが思念で語りかけてきた。
「う~ん……やめておきましょう。とりあえず気を失っているみたいだし、一緒に城まで帰りましょう」
<はい、2人で一緒に帰りましょう。それでは人間の姿に戻りましょうか?>
「そうね……月がとっても綺麗だから空を飛んで帰りましょう」
私はほんの少し考えると、笑顔で答えた――