政略結婚した夫の愛人は私の専属メイドだったので離婚しようと思います
2-4 花嫁の完成
「一体メイド長は何をしに出て行ったのでしょうね?」
ミラージュは訝し気に首を傾げて私を見る。
「さぁ? でも……とりあえず着替えましょうか……」
「ええ、そうですね。用意されたワンピースの方が、まだ幾分私たちが来ているワンピースよりはましですからね」
こうして私とミラージュは互いに用意されたワンピースに着替えることにした。
****
「まあ、レベッカ様。よくお似合いですよ」
ミラージュが白いワンピースに着替えた私を見つめる。
「あら、本当? 嬉しいわ」
私は部屋に掛けてある全身が映る細長い姿見に自分の姿を映してみた。たしかにこのワンピースはなかなかよく似合っている。これもまだ私が17歳だから着こなせるのかもしれない。一方ミラージュは紺色パフスリーブのフレアーワンピース姿である。
「ミラージュもそのワンピース、良く似合っているわ」
「ありがとうございます、それにしてもこのワンピース、とてもよく身体にフィットしています。やはり昨日採寸した通りのサイズなのでしょうか?」
「ええ、そうね。私もピッタリサイズだもの。アレックス王子が気を利かせてくれたのかしら?」
「私にはそんな男には見えませんでしたけどね……」
尚もミラージュは不満そうにブツブツ言っている。
その時。
――コンコン
ドアをノックする音が聞こえた。
「はい?」
私が返事をすると部屋の外で先程のメイド長の声が聞こえてきた。
「あの……王女様、侍女様。中へ入ってもよろしいでしょうか…?」
「ええ、どうぞ」
私が答えると、失礼しますと言ってメイド長が何やら箱を持って入ってきた。
「
「その箱は何かしら?」
尋ねると、メイド長は箱を開けた。中にはヴェール付きの白いヘッド帽子が入っていた。さらにその下には真っ白なハイヒール迄ある。
「あの……実はアレックス王子には、どうせワンピースで式を挙げるのだから、何もいらないだろうと言われていました。それではあまりにも見栄えがしないと思い、私どもで勝手に用意したものです。本当は直前までお渡ししようか、迷っていたのですが……」
するとミラージュが口を挟んできた。
「何を言ってるのです。わざわざ持ってきたのですから、さっさとレベッカ様にお渡しなさい」
そしてあっという間にメイド長から箱を奪うと中身を取り出した。
「まあ、素敵なウェディング帽子ですよ? これを被ればもう、花嫁間違いなしです! この白い靴もすてきですよ!」
ミラージュは嬉しそうにしている。
「あら、本当ね。それじゃ、早速メイクをして準備をしなくちゃね」
するとそれまで下唇を噛み締めていたメイド長が顔を上げた。
「あの、私もお手伝い致します」
「まぁ、ありがとう。よろしくお願いするわ」
その後、私はミラージュとメイド長の助けを借りて、メイクをしてもらい、髪をセットして貰った。
「素晴らしい! とてもお美しいですわ! レベッカ様っ!」
ミラージュが嬉しそうに私を見て拍手する。
「ええ、本当によくお似合いです。可愛らしい花嫁の出来上がりですわ」
メイド長も満足げだ。鏡を覗きこむと、そこには今までと違う自分が映り込んでいる。
「フフ、これなら、アレックス王子様も少しは私の事を気にかけてくれるようになるかしらね?」
私はミラージュとメイド長を見ながら声をかけた。
「ええ、勿論です!きっとレベッカ様の美しさに惚れ直します!
「…」
しかし、何故かメイド長は悲し気に視線を落とす。そして私はそのメイド長の表情の意味を後程知ることになるのだった――
ミラージュは訝し気に首を傾げて私を見る。
「さぁ? でも……とりあえず着替えましょうか……」
「ええ、そうですね。用意されたワンピースの方が、まだ幾分私たちが来ているワンピースよりはましですからね」
こうして私とミラージュは互いに用意されたワンピースに着替えることにした。
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「まあ、レベッカ様。よくお似合いですよ」
ミラージュが白いワンピースに着替えた私を見つめる。
「あら、本当? 嬉しいわ」
私は部屋に掛けてある全身が映る細長い姿見に自分の姿を映してみた。たしかにこのワンピースはなかなかよく似合っている。これもまだ私が17歳だから着こなせるのかもしれない。一方ミラージュは紺色パフスリーブのフレアーワンピース姿である。
「ミラージュもそのワンピース、良く似合っているわ」
「ありがとうございます、それにしてもこのワンピース、とてもよく身体にフィットしています。やはり昨日採寸した通りのサイズなのでしょうか?」
「ええ、そうね。私もピッタリサイズだもの。アレックス王子が気を利かせてくれたのかしら?」
「私にはそんな男には見えませんでしたけどね……」
尚もミラージュは不満そうにブツブツ言っている。
その時。
――コンコン
ドアをノックする音が聞こえた。
「はい?」
私が返事をすると部屋の外で先程のメイド長の声が聞こえてきた。
「あの……王女様、侍女様。中へ入ってもよろしいでしょうか…?」
「ええ、どうぞ」
私が答えると、失礼しますと言ってメイド長が何やら箱を持って入ってきた。
「
「その箱は何かしら?」
尋ねると、メイド長は箱を開けた。中にはヴェール付きの白いヘッド帽子が入っていた。さらにその下には真っ白なハイヒール迄ある。
「あの……実はアレックス王子には、どうせワンピースで式を挙げるのだから、何もいらないだろうと言われていました。それではあまりにも見栄えがしないと思い、私どもで勝手に用意したものです。本当は直前までお渡ししようか、迷っていたのですが……」
するとミラージュが口を挟んできた。
「何を言ってるのです。わざわざ持ってきたのですから、さっさとレベッカ様にお渡しなさい」
そしてあっという間にメイド長から箱を奪うと中身を取り出した。
「まあ、素敵なウェディング帽子ですよ? これを被ればもう、花嫁間違いなしです! この白い靴もすてきですよ!」
ミラージュは嬉しそうにしている。
「あら、本当ね。それじゃ、早速メイクをして準備をしなくちゃね」
するとそれまで下唇を噛み締めていたメイド長が顔を上げた。
「あの、私もお手伝い致します」
「まぁ、ありがとう。よろしくお願いするわ」
その後、私はミラージュとメイド長の助けを借りて、メイクをしてもらい、髪をセットして貰った。
「素晴らしい! とてもお美しいですわ! レベッカ様っ!」
ミラージュが嬉しそうに私を見て拍手する。
「ええ、本当によくお似合いです。可愛らしい花嫁の出来上がりですわ」
メイド長も満足げだ。鏡を覗きこむと、そこには今までと違う自分が映り込んでいる。
「フフ、これなら、アレックス王子様も少しは私の事を気にかけてくれるようになるかしらね?」
私はミラージュとメイド長を見ながら声をかけた。
「ええ、勿論です!きっとレベッカ様の美しさに惚れ直します!
「…」
しかし、何故かメイド長は悲し気に視線を落とす。そして私はそのメイド長の表情の意味を後程知ることになるのだった――