政略結婚した夫の愛人は私の専属メイドだったので離婚しようと思います
2-8 フラワーシャワーと奇跡の瞬間
バンッ!!
勢いよく両手で扉を押し開いて、私は新たな一歩を踏み出した。するとそこには先ほどのメイド長が左腕にバスケットをぶら下げて立っている。そして突然手に持っていたクラッカーを鳴らした。
パアアーンッ!
「キャアッ!」
思わず驚いて叫ぶと、今度はバスケットに左手を突っ込み、お花を投げ出した。
「おめでとうございますっ! おめでとうございますっ!」
たった1人きりで盛大にお祝いをしてくれている姿に思わず胸が熱くなる。すると背後からミラージュの声が近づいてきた。
「メイド長! 私にもお祝いさせてくださいっ!」
「ええ! どうぞ! まだまだ花なら沢山ありますからっ!」
メイド長は答える。
「え?」
見るとメイド長の傍には大きな籠があり、どこから集めてきたのか色とりどりな花がぎっしり詰まっている。
そしてミラージュも籠に手を突っ込むと私に花を振りかけてきた。
「レベッカ様っ! 最高ですっ! おめでとうございますっ!」
その騒ぎを聞きつけてか、ランス王子も加わった。
「君たち面白いことをしているね。よし、僕もやろう」
そしてランス王子ま花びらをすくって投げるものだから、式に参加した人々も当然花びらをすくっては投げ……気づけばそこに神父様も加わっていた――
****
籠の中の花が全て無くなり、いつしか私の足元は花まみれになっていた。
「皆さん、ありがとうございます……。感動で思わず目頭が熱くなってしまいました……。私は……私は今幸せですっ!」
パチパチパチパチ……ッ!
すると再び一斉に拍手を受けた。
「うん、いい式だったよ」
「なかなか斬新だったわ」
「よく見ればそのワンピース、すごく可愛いじゃないか」
「やっぱり若いから似合うわね……」
等々……貴族のおじ様、おば様達に賛辞を受けた。そしてランス王子も褒めてくれる。
「うん、いいねぇ……君のその明るくて前向きな態度。こんな酷い目に遭ったのにめげない所なんて好感が持てるよ。これからよろしくね」
「はい。これからお世話になります。よろしくお願いします」
そして私はその場にいる全員をぐるりと見渡す。
「皆様、私は皆様にとても親切にして頂きました。なのでこれから1か月以内に必ず皆様の元に思いもかけない幸運が舞い込んでくることをお約束致しますっ!」
私の言葉にその場にいた人々は一瞬ぽかんとした顔を見せたが……やがて大きな笑いに包まれた。
「いやいや……やはり君は面白い子だね」
「フフフ……可愛らしいことを言ってくれるじゃない。今度私の領地へ遊びにいらっしゃい?」
「そうだね。君のような子なら歓迎するよ」
貴族のお偉い方々は口々に言い合い、皆満足げに帰って行った。彼らが去る姿を見届けると、ランス王子が話しかけてきた。
「それじゃあ、レベッカ。弟は何かと扱いにくいけど君が幸せになれる事を祈っているよ」
「はい、ありがとうございます。私頑張ります!」
「大丈夫です。レベッカ様の傍には私がおりますから」
ミラージュが話に割って入ってきた。
「ハハハ……それじゃ、お2人とも、またね」
ランス王子は手を振り、城へと帰って行った。
そして残されたのは私とレベッカ、ミラージュに神父様とメイド長。すると神父様が声をかけてきた。
「それでは私も失礼致しますね」
神父様が頭を下げた時、突然――
ゴォーン
ゴォーン……
教会の鐘が厳かに鳴り響いた。
「ええ!? そ、そんな……あの鐘はもう1年以上鳴らなかったのに。いくら修理をお願いしても陛下は修理して下さらなかったのに突然鳴りだすなんて……」
神父様は感動? の涙を浮かべた。
いつの間にか教会の屋根には十数羽の白いハトが止まっている。
そして――
バサバサバサ……ッ!
青空の下、白いハトは一斉に飛び立ち、羽音を立てながら教会の屋根を何度も旋回すると、やがて遠くへ飛び去って行った。
「おお……何と言う奇跡だ。鳴り響く鐘の音に幸運を運んでくると言うハトが教会から飛び立っていくなんて……」
メイド長も目を見張ってその光景を眺めているし、レベッカはハトの群れに手を振っている。
私は感動で涙する神父様の姿を見ながら思った。
きっと今頃母国、オーランド王国ではすでに異変が起き始めているだろうと――
勢いよく両手で扉を押し開いて、私は新たな一歩を踏み出した。するとそこには先ほどのメイド長が左腕にバスケットをぶら下げて立っている。そして突然手に持っていたクラッカーを鳴らした。
パアアーンッ!
「キャアッ!」
思わず驚いて叫ぶと、今度はバスケットに左手を突っ込み、お花を投げ出した。
「おめでとうございますっ! おめでとうございますっ!」
たった1人きりで盛大にお祝いをしてくれている姿に思わず胸が熱くなる。すると背後からミラージュの声が近づいてきた。
「メイド長! 私にもお祝いさせてくださいっ!」
「ええ! どうぞ! まだまだ花なら沢山ありますからっ!」
メイド長は答える。
「え?」
見るとメイド長の傍には大きな籠があり、どこから集めてきたのか色とりどりな花がぎっしり詰まっている。
そしてミラージュも籠に手を突っ込むと私に花を振りかけてきた。
「レベッカ様っ! 最高ですっ! おめでとうございますっ!」
その騒ぎを聞きつけてか、ランス王子も加わった。
「君たち面白いことをしているね。よし、僕もやろう」
そしてランス王子ま花びらをすくって投げるものだから、式に参加した人々も当然花びらをすくっては投げ……気づけばそこに神父様も加わっていた――
****
籠の中の花が全て無くなり、いつしか私の足元は花まみれになっていた。
「皆さん、ありがとうございます……。感動で思わず目頭が熱くなってしまいました……。私は……私は今幸せですっ!」
パチパチパチパチ……ッ!
すると再び一斉に拍手を受けた。
「うん、いい式だったよ」
「なかなか斬新だったわ」
「よく見ればそのワンピース、すごく可愛いじゃないか」
「やっぱり若いから似合うわね……」
等々……貴族のおじ様、おば様達に賛辞を受けた。そしてランス王子も褒めてくれる。
「うん、いいねぇ……君のその明るくて前向きな態度。こんな酷い目に遭ったのにめげない所なんて好感が持てるよ。これからよろしくね」
「はい。これからお世話になります。よろしくお願いします」
そして私はその場にいる全員をぐるりと見渡す。
「皆様、私は皆様にとても親切にして頂きました。なのでこれから1か月以内に必ず皆様の元に思いもかけない幸運が舞い込んでくることをお約束致しますっ!」
私の言葉にその場にいた人々は一瞬ぽかんとした顔を見せたが……やがて大きな笑いに包まれた。
「いやいや……やはり君は面白い子だね」
「フフフ……可愛らしいことを言ってくれるじゃない。今度私の領地へ遊びにいらっしゃい?」
「そうだね。君のような子なら歓迎するよ」
貴族のお偉い方々は口々に言い合い、皆満足げに帰って行った。彼らが去る姿を見届けると、ランス王子が話しかけてきた。
「それじゃあ、レベッカ。弟は何かと扱いにくいけど君が幸せになれる事を祈っているよ」
「はい、ありがとうございます。私頑張ります!」
「大丈夫です。レベッカ様の傍には私がおりますから」
ミラージュが話に割って入ってきた。
「ハハハ……それじゃ、お2人とも、またね」
ランス王子は手を振り、城へと帰って行った。
そして残されたのは私とレベッカ、ミラージュに神父様とメイド長。すると神父様が声をかけてきた。
「それでは私も失礼致しますね」
神父様が頭を下げた時、突然――
ゴォーン
ゴォーン……
教会の鐘が厳かに鳴り響いた。
「ええ!? そ、そんな……あの鐘はもう1年以上鳴らなかったのに。いくら修理をお願いしても陛下は修理して下さらなかったのに突然鳴りだすなんて……」
神父様は感動? の涙を浮かべた。
いつの間にか教会の屋根には十数羽の白いハトが止まっている。
そして――
バサバサバサ……ッ!
青空の下、白いハトは一斉に飛び立ち、羽音を立てながら教会の屋根を何度も旋回すると、やがて遠くへ飛び去って行った。
「おお……何と言う奇跡だ。鳴り響く鐘の音に幸運を運んでくると言うハトが教会から飛び立っていくなんて……」
メイド長も目を見張ってその光景を眺めているし、レベッカはハトの群れに手を振っている。
私は感動で涙する神父様の姿を見ながら思った。
きっと今頃母国、オーランド王国ではすでに異変が起き始めているだろうと――