政略結婚した夫の愛人は私の専属メイドだったので離婚しようと思います
2-17 そして夜が明けた
チュンチュン……
あ……鳥さんが鳴いている……もう朝なのね……。
カーテンの隙間からは朝日が差し込み、室内の一角を明るく照らしていた。その眩しさに目を開けてみれば、いつの間にか夜は明け、私はベッドのヘッドボードに頭を乗せて居眠りをしていた状態でいた事に気が付いた。
「う~さ、寒い……それに体中痛いわ……」
身体を起こし、キルトも何も掛けずにいた私の体はすっかり冷え切っていた。サイドテーブルに置かれた美しい花の装飾が施された置時計を見ると時刻は6時15分を示している。
「もうとっくに夜は明けてると言うのに……一体アレックス王は何をしているのかしら? それにビビアンも戻って来なかったし。でも多分今から事を成す事は無いでしょう。着替えましょ」
足元に置かれた室内履きを履くと私はクローゼットへ向かった。
――バタン
扉を開けると、そこには色とりどりの美しいドレスがぶら下がっている。思わずそのドレスをかき集め、ギュッと両手で抱きしめると頬ずりした。
「う~ん……何て素敵! こんなに美しいドレスが全部私の物なんて一体誰が用意してくれたのかしら……。感謝します……誰かは分かりませんが、あなたの元に幸せが舞い込みますように……」
私は誰とも知れぬ相手に感謝の気持ちを捧げた――
****
「フフフ……これなんて素敵なワンピースね」
自分で選んだワンピースを着た私は姿見の前でクルリと回ってみた。胸元に白いレースのフリルたっぷりの襟元にウェストをキュッと絞ったボリュームたっぷりのロングワンピース。色は淡いピンク色で、裾部分にはふんだんな真っ白なレースがあしらわれている。これならたとえワンピースでも、十分ドレスの代用品になりそうだ。
そして憧れだったドレッサーの前に座り、髪をブラシで整えた。
「何か髪をまとめる髪飾りは無いかしら……」
ドレッサーの引き出しを開けると、綺麗に整理整頓されたヘアアクセサリーのケースが出てきた。
そこで私は真珠のバレッタを手に取り、髪を止めると立ち上がった。
「さて、アレックス王子様のお部屋へ行ってみようかしら」
ドアを開けて、さっそうとアレックス王子のお部屋へと向かった。
本当の気持ちを言えば、私は王子には会いたくない。会いたくないけれども何故昨夜部屋にやって来なかったのか理由を問いたださなければ。
ついでにビビアンが部屋を訪れたかどうかの確認もしなけれならないし。何せ彼女はアレックス王子を呼んでくると言っておきながら一晩経っても私の部屋に戻って来なかったのだから。
そしてアレックス王子の部屋の近くまでやってきた時。
――カチャリ
突然部屋の扉が開いて、何故か私は条件反射? で廊下に並べられていた巨大なツボの背後に隠れてしまった。そして恐る恐る覗き込んで目をこすった。
あれ……? 見間違いじゃないわよね?
何と部屋から出てきたのはメイドのビビアンだったのだから。彼女は乱れた髪を両手ですきながら、ドアの方を振り返る。すると現れたのはやはりアレックス王子。
まあ……それは当然。何故ならあの部屋はアレックス王子の部屋なのだから。
でもちょっと待って……。ビビアンが今頃あの部屋から出てきたと言う事は……?
すると予想通り、2人は抱き合うと、ここは廊下でいつ人が来るかも分からない場所なのに、熱烈なキスをし……そのまま何故か再び部屋の中へと入ってしまった。
――バタン
扉が閉じられると私は立ち上がった。
「ははあ~ん……成程、そう言う事でしたか……」
もうこの場所に用はない。
私は部屋に戻って寝る事にしよう。
欠伸をかみ殺しながら寝不足の頭で部屋に戻って行った――
あ……鳥さんが鳴いている……もう朝なのね……。
カーテンの隙間からは朝日が差し込み、室内の一角を明るく照らしていた。その眩しさに目を開けてみれば、いつの間にか夜は明け、私はベッドのヘッドボードに頭を乗せて居眠りをしていた状態でいた事に気が付いた。
「う~さ、寒い……それに体中痛いわ……」
身体を起こし、キルトも何も掛けずにいた私の体はすっかり冷え切っていた。サイドテーブルに置かれた美しい花の装飾が施された置時計を見ると時刻は6時15分を示している。
「もうとっくに夜は明けてると言うのに……一体アレックス王は何をしているのかしら? それにビビアンも戻って来なかったし。でも多分今から事を成す事は無いでしょう。着替えましょ」
足元に置かれた室内履きを履くと私はクローゼットへ向かった。
――バタン
扉を開けると、そこには色とりどりの美しいドレスがぶら下がっている。思わずそのドレスをかき集め、ギュッと両手で抱きしめると頬ずりした。
「う~ん……何て素敵! こんなに美しいドレスが全部私の物なんて一体誰が用意してくれたのかしら……。感謝します……誰かは分かりませんが、あなたの元に幸せが舞い込みますように……」
私は誰とも知れぬ相手に感謝の気持ちを捧げた――
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「フフフ……これなんて素敵なワンピースね」
自分で選んだワンピースを着た私は姿見の前でクルリと回ってみた。胸元に白いレースのフリルたっぷりの襟元にウェストをキュッと絞ったボリュームたっぷりのロングワンピース。色は淡いピンク色で、裾部分にはふんだんな真っ白なレースがあしらわれている。これならたとえワンピースでも、十分ドレスの代用品になりそうだ。
そして憧れだったドレッサーの前に座り、髪をブラシで整えた。
「何か髪をまとめる髪飾りは無いかしら……」
ドレッサーの引き出しを開けると、綺麗に整理整頓されたヘアアクセサリーのケースが出てきた。
そこで私は真珠のバレッタを手に取り、髪を止めると立ち上がった。
「さて、アレックス王子様のお部屋へ行ってみようかしら」
ドアを開けて、さっそうとアレックス王子のお部屋へと向かった。
本当の気持ちを言えば、私は王子には会いたくない。会いたくないけれども何故昨夜部屋にやって来なかったのか理由を問いたださなければ。
ついでにビビアンが部屋を訪れたかどうかの確認もしなけれならないし。何せ彼女はアレックス王子を呼んでくると言っておきながら一晩経っても私の部屋に戻って来なかったのだから。
そしてアレックス王子の部屋の近くまでやってきた時。
――カチャリ
突然部屋の扉が開いて、何故か私は条件反射? で廊下に並べられていた巨大なツボの背後に隠れてしまった。そして恐る恐る覗き込んで目をこすった。
あれ……? 見間違いじゃないわよね?
何と部屋から出てきたのはメイドのビビアンだったのだから。彼女は乱れた髪を両手ですきながら、ドアの方を振り返る。すると現れたのはやはりアレックス王子。
まあ……それは当然。何故ならあの部屋はアレックス王子の部屋なのだから。
でもちょっと待って……。ビビアンが今頃あの部屋から出てきたと言う事は……?
すると予想通り、2人は抱き合うと、ここは廊下でいつ人が来るかも分からない場所なのに、熱烈なキスをし……そのまま何故か再び部屋の中へと入ってしまった。
――バタン
扉が閉じられると私は立ち上がった。
「ははあ~ん……成程、そう言う事でしたか……」
もうこの場所に用はない。
私は部屋に戻って寝る事にしよう。
欠伸をかみ殺しながら寝不足の頭で部屋に戻って行った――