政略結婚した夫の愛人は私の専属メイドだったので離婚しようと思います
4-3 ワイルドでいこう
「「何だ?」」
おおっ! アレックス王子とサミュエル王子が2人同時に返事をしてこちらを振り向いた。なんて気の合う2人なのだろう。
「あの~お話し中申し訳ありませんが……いつになったら晩餐会は始まるのでしょうか?」
「何……? 晩餐会……? そうか…、忘れていた。一緒に食事をする為に2人を招いたのだったな」
ハッハッハッとわざとらしい笑いをするサミュエル王子にアレックス王子は憎々しげに呟く。
「絶対に嘘だ……。分っていてあいつは食事を出さなかったに決まっている……」
うん。私も絶対そう思う。このサミュエル王子はアレックス王子と同じ位のいい性格をしているかもしれない。
「本当にすまなかったな。すぐに食事を持ってこさせるから」
サミュエル王子はおもむろに懐からベルを取り出すと、チリンチリンと鳴らした。
すると……。
――コンコン
すぐにノックの音が聞こえた。
「お食事を持ってまいりました」
女性の声がドアの外で聞こえた。嘘っ!? もう用意出来ていたの? って言うか、やはりお預けは嫌がらせだったのかもしれない。
「ああ、入れ」
するとガチャリとドアが開けられ、そこには1人のメイドが大きなワゴンの脇に立っていた。
「失礼致します」
頭を下げるとワゴンを押して部屋の中に入って来る。そしてその後に続く3人のメイドたち。彼女たちはテーブルの前に並ぶと、私たちの目の前にクロッシュを乗せた食器を次々と並べて、蓋を外していく。
するとそこからは湯気の立つおいしそうな料理が現れた。湯気の立つクリームスープ、まだ熱々の鉄板でジュウジュウと焼けている肉汁滴るステーキ、骨付きのローストチキン、焼き立てのパンにカラフルなサラダ……巨大エビのグリル焼きに魚のムニエル。他に見た目も可愛いデザート各種にワイン瓶……。そのワインをメイド達は優雅な手つきでグラスに注いでくれた。
私は豪華絢爛な料理の匂いを思い切り吸い込むと、サミュエル王子に尋ねた。
「あの、もう頂いてもいいですか!?」
「え? あ。ああ……別に構わないが……?」
いつの間にかワイングラスを右手に持っていたサミュエル王子は驚いたように私を見た。そしてアレックス王子もワイングラス片手にギョッとした顔をこちらに向けている。
「で、では……コホン。それでは……我が国とグランダ王国の益々の繁栄を祈って……」
サミュエル王子が何かを言いかけたところを……。
「うわ~! 美味しそうっ!」
お腹が空いて我慢できなかった私はスープの入ったカップに手を伸ばし、フウフウ冷ましながらゴクリゴクリと飲み干した。うん、美味しいっ!
次にお皿に載ったテーブルパンに手を伸ばしてかぶりつく。もぐもぐ……ゴクン。
「うわあ……このパン、柔らかくて甘みがあって最高!」
さて……次はどれを頂こうかな? すると私の目の前には骨付きチキンが早く食べてと私を誘惑している事に気が付いた。
「あの~……」
私は未だにテーブルの前に立つメイドに声をかけた。
「は、はいっ!? な・な・何でございましょう!?」
何故か私を見てひきつった笑みを浮かべるメイド。
「ペーパーか何かありませんか?」
「あ? ぺ・ぺ・ペーパーですかっ!?」
「はい、ペーパーです」
「あ、あの……ど、どうぞ……」
メイドがワゴンの上からペーパーを数枚渡してくれた。
「ウフフフ……。ありがとうございます」
笑顔で受け取る私。
「お、おいっ!!お前、一体何をする気だっ!?」
フォークとナイフを手に持ったアレックス王子がギョッとした顔でこちらを見る。
「いいですか? アレックス様。食事というのはですね……上品に食べるより、ワイルドに心の赴くままに食べる方が美味しいんですよ?」
そして私はチキンの骨の部分にペーパーを巻き付けた。そしてそのままチキンにかぶりつくと、噛みちぎる!
「「!!」」
アレックス王子とサミュエル王子の息を飲む気配がこちらまで伝わってきた。
モグモグモグ……ゴックン
「あ~美味しい……このスパイシーなチキン……最高!」
にっこり笑みを浮かべると……。
ガタンッ!!
いきなりアレックス王子が勢いよく立ち上がり、ずかずかと私の処へやってきて突然腕を掴んで無理やり立たされてしまった。
「お、おい……一体何を…?」
サミュエル王子もアレックス王子の突然の行動に戸惑い、声をかけてきた。
「……部屋へ戻る」
するとボソリとアレックス王子が言った。
「え?」
「来いっ! 部屋へ戻るぞっ!」
そして私の腕を掴んだまま、ドアへ向かって歩き始めた。ああっ! そ、そんな……まだ……まだエビを食べていないのにっ!
「待って下さいっ! せ、せめて……せめてデザートだけでもっ!」
しかし……。
バンッ!!
アレックス王子はドアを乱暴に開け、私は引きずらるように無理やり部屋から連れ出されてしまった。
ドアが閉じられる最後の瞬間、私が目にしたのは……お腹を抱えて笑い転げるサミュエル王子の姿だった――
おおっ! アレックス王子とサミュエル王子が2人同時に返事をしてこちらを振り向いた。なんて気の合う2人なのだろう。
「あの~お話し中申し訳ありませんが……いつになったら晩餐会は始まるのでしょうか?」
「何……? 晩餐会……? そうか…、忘れていた。一緒に食事をする為に2人を招いたのだったな」
ハッハッハッとわざとらしい笑いをするサミュエル王子にアレックス王子は憎々しげに呟く。
「絶対に嘘だ……。分っていてあいつは食事を出さなかったに決まっている……」
うん。私も絶対そう思う。このサミュエル王子はアレックス王子と同じ位のいい性格をしているかもしれない。
「本当にすまなかったな。すぐに食事を持ってこさせるから」
サミュエル王子はおもむろに懐からベルを取り出すと、チリンチリンと鳴らした。
すると……。
――コンコン
すぐにノックの音が聞こえた。
「お食事を持ってまいりました」
女性の声がドアの外で聞こえた。嘘っ!? もう用意出来ていたの? って言うか、やはりお預けは嫌がらせだったのかもしれない。
「ああ、入れ」
するとガチャリとドアが開けられ、そこには1人のメイドが大きなワゴンの脇に立っていた。
「失礼致します」
頭を下げるとワゴンを押して部屋の中に入って来る。そしてその後に続く3人のメイドたち。彼女たちはテーブルの前に並ぶと、私たちの目の前にクロッシュを乗せた食器を次々と並べて、蓋を外していく。
するとそこからは湯気の立つおいしそうな料理が現れた。湯気の立つクリームスープ、まだ熱々の鉄板でジュウジュウと焼けている肉汁滴るステーキ、骨付きのローストチキン、焼き立てのパンにカラフルなサラダ……巨大エビのグリル焼きに魚のムニエル。他に見た目も可愛いデザート各種にワイン瓶……。そのワインをメイド達は優雅な手つきでグラスに注いでくれた。
私は豪華絢爛な料理の匂いを思い切り吸い込むと、サミュエル王子に尋ねた。
「あの、もう頂いてもいいですか!?」
「え? あ。ああ……別に構わないが……?」
いつの間にかワイングラスを右手に持っていたサミュエル王子は驚いたように私を見た。そしてアレックス王子もワイングラス片手にギョッとした顔をこちらに向けている。
「で、では……コホン。それでは……我が国とグランダ王国の益々の繁栄を祈って……」
サミュエル王子が何かを言いかけたところを……。
「うわ~! 美味しそうっ!」
お腹が空いて我慢できなかった私はスープの入ったカップに手を伸ばし、フウフウ冷ましながらゴクリゴクリと飲み干した。うん、美味しいっ!
次にお皿に載ったテーブルパンに手を伸ばしてかぶりつく。もぐもぐ……ゴクン。
「うわあ……このパン、柔らかくて甘みがあって最高!」
さて……次はどれを頂こうかな? すると私の目の前には骨付きチキンが早く食べてと私を誘惑している事に気が付いた。
「あの~……」
私は未だにテーブルの前に立つメイドに声をかけた。
「は、はいっ!? な・な・何でございましょう!?」
何故か私を見てひきつった笑みを浮かべるメイド。
「ペーパーか何かありませんか?」
「あ? ぺ・ぺ・ペーパーですかっ!?」
「はい、ペーパーです」
「あ、あの……ど、どうぞ……」
メイドがワゴンの上からペーパーを数枚渡してくれた。
「ウフフフ……。ありがとうございます」
笑顔で受け取る私。
「お、おいっ!!お前、一体何をする気だっ!?」
フォークとナイフを手に持ったアレックス王子がギョッとした顔でこちらを見る。
「いいですか? アレックス様。食事というのはですね……上品に食べるより、ワイルドに心の赴くままに食べる方が美味しいんですよ?」
そして私はチキンの骨の部分にペーパーを巻き付けた。そしてそのままチキンにかぶりつくと、噛みちぎる!
「「!!」」
アレックス王子とサミュエル王子の息を飲む気配がこちらまで伝わってきた。
モグモグモグ……ゴックン
「あ~美味しい……このスパイシーなチキン……最高!」
にっこり笑みを浮かべると……。
ガタンッ!!
いきなりアレックス王子が勢いよく立ち上がり、ずかずかと私の処へやってきて突然腕を掴んで無理やり立たされてしまった。
「お、おい……一体何を…?」
サミュエル王子もアレックス王子の突然の行動に戸惑い、声をかけてきた。
「……部屋へ戻る」
するとボソリとアレックス王子が言った。
「え?」
「来いっ! 部屋へ戻るぞっ!」
そして私の腕を掴んだまま、ドアへ向かって歩き始めた。ああっ! そ、そんな……まだ……まだエビを食べていないのにっ!
「待って下さいっ! せ、せめて……せめてデザートだけでもっ!」
しかし……。
バンッ!!
アレックス王子はドアを乱暴に開け、私は引きずらるように無理やり部屋から連れ出されてしまった。
ドアが閉じられる最後の瞬間、私が目にしたのは……お腹を抱えて笑い転げるサミュエル王子の姿だった――