政略結婚した夫の愛人は私の専属メイドだったので離婚しようと思います
4-4 ドキドキの理由
「お、お前という奴は……一体どこまでこの俺に恥をかかせる気だーっ!!」
部屋に着いて、真っ先に私が受けたのはアレックス王子からの叱責だった。
「え? 私が一体何をしたのですか?」
カウチソファに座り、顔を真っ赤にして仁王立ちになっているアレックス王子を見上げながら私は首を傾げた。
「何? 自分が何をしたのか分からないだと? なら胸に手を当ててよーく考えてみろ」
「は、はい……」
言われた私は自分の胸に手を当ててみた。
「……ドクドク言ってます……」
「ああ、それはそうだろう? お前はこの俺に赤っ恥をかかせたのだから、罪悪感で胸が張り裂けそうになってドキドキしているのだろう?」
アレックス王子は満足げに頷く。
「いえ……これは生きているから心臓が動いているだけなのでは……」
しかし私の言葉に耳を貸さずアレックス王子は溜息をつく。
「は~……全く……よりにもよって、俺の宿敵ともいえるサミュエルの前で恥をかかされるとは……しかもお前のせいでっ!」
そしてギロッ! と私を睨み付ける。
「え? 部屋を出る時のサミュエル王子はお腹を抱えて笑っておりましたよ? むしろ楽しませてあげる事が出来たと思いませんか?」
「は? お前、本気でそんな事言ってるのか? サミュエルが喜んでいた? いや、違うな。あいつはなあ……俺たちを馬鹿にして笑ってたんだよっ! あーっ、くそっ! 腹の立つ……。風呂に入って来るっ!」
そしてアレックス王子は大理石のテーブルに置かれたベルを掴むと乱暴にチリンチリンと振り鳴らした。
すると……。
――コンコン
ノックの音と共にドアの外でメイドの声が聞こえた。
「お呼びでしょうか?」
「ああ、風呂に入りたい。準備してくれ」
アレックス王子の言葉に、ガチャリと扉が開かれた。
「失礼致します。ではご案内いたします。こちらへどうぞ」
「ああ」
そしてアレックス王子はメイドの後に続き、2人で部屋を出て行き……ドアがパタンと閉じられた。
「……」
私はその様子を黙って見ていたが……やっとここで納得がいった。
「ああ……成程……そう言う事ね……」
そしてカウチソファにゴロリと寝転がり、天井を眺めた。
「……今頃ミラージュはどうしているかしら……」
そしてお腹をさすった。何だか中途半端な食事だったせいでお腹が空いている。今日はただでさえ、『力』を使ったからお腹が空いていると言うのに……。
「まあ仕方ないわね。アレックス王子もお風呂に行ったことだし……私もお風呂に入ろうかな。そう言えば客室にはバスルームは無いのかしら?」
カウチソファから起き上がると、私は左手奥に見える扉を見た。
「あれ……ひょっとしてバスルームじゃないかしら?」
早速扉に向かうと、ドアノブを掴んで回してみた。
するとやはり思った通り、そこはバスルームだった。広々としたバスルームはツルツルに光るタイルの床で大理石の猫足バスタブが置かれている。床からは銀色に輝くシャワーヘッド付きのパイプが伸び、お湯と水が出るようになっている。備え付けの棚には清潔そうな真っ白なタオルが何枚も置かれているし、身体を洗う石鹸に大きなスポンジ迄用意されていた。
ふ~ん……これほど立派なバスルームが付いているのに、わざわざメイドを呼んでバスルームへ行ったと言う事は……。
「うん、きっとアレだな。アレに違いない……」
だから愛人が出来るのか。
私は1人で納得し、1人で頷くと着替えを取りに客室へ戻った――
部屋に着いて、真っ先に私が受けたのはアレックス王子からの叱責だった。
「え? 私が一体何をしたのですか?」
カウチソファに座り、顔を真っ赤にして仁王立ちになっているアレックス王子を見上げながら私は首を傾げた。
「何? 自分が何をしたのか分からないだと? なら胸に手を当ててよーく考えてみろ」
「は、はい……」
言われた私は自分の胸に手を当ててみた。
「……ドクドク言ってます……」
「ああ、それはそうだろう? お前はこの俺に赤っ恥をかかせたのだから、罪悪感で胸が張り裂けそうになってドキドキしているのだろう?」
アレックス王子は満足げに頷く。
「いえ……これは生きているから心臓が動いているだけなのでは……」
しかし私の言葉に耳を貸さずアレックス王子は溜息をつく。
「は~……全く……よりにもよって、俺の宿敵ともいえるサミュエルの前で恥をかかされるとは……しかもお前のせいでっ!」
そしてギロッ! と私を睨み付ける。
「え? 部屋を出る時のサミュエル王子はお腹を抱えて笑っておりましたよ? むしろ楽しませてあげる事が出来たと思いませんか?」
「は? お前、本気でそんな事言ってるのか? サミュエルが喜んでいた? いや、違うな。あいつはなあ……俺たちを馬鹿にして笑ってたんだよっ! あーっ、くそっ! 腹の立つ……。風呂に入って来るっ!」
そしてアレックス王子は大理石のテーブルに置かれたベルを掴むと乱暴にチリンチリンと振り鳴らした。
すると……。
――コンコン
ノックの音と共にドアの外でメイドの声が聞こえた。
「お呼びでしょうか?」
「ああ、風呂に入りたい。準備してくれ」
アレックス王子の言葉に、ガチャリと扉が開かれた。
「失礼致します。ではご案内いたします。こちらへどうぞ」
「ああ」
そしてアレックス王子はメイドの後に続き、2人で部屋を出て行き……ドアがパタンと閉じられた。
「……」
私はその様子を黙って見ていたが……やっとここで納得がいった。
「ああ……成程……そう言う事ね……」
そしてカウチソファにゴロリと寝転がり、天井を眺めた。
「……今頃ミラージュはどうしているかしら……」
そしてお腹をさすった。何だか中途半端な食事だったせいでお腹が空いている。今日はただでさえ、『力』を使ったからお腹が空いていると言うのに……。
「まあ仕方ないわね。アレックス王子もお風呂に行ったことだし……私もお風呂に入ろうかな。そう言えば客室にはバスルームは無いのかしら?」
カウチソファから起き上がると、私は左手奥に見える扉を見た。
「あれ……ひょっとしてバスルームじゃないかしら?」
早速扉に向かうと、ドアノブを掴んで回してみた。
するとやはり思った通り、そこはバスルームだった。広々としたバスルームはツルツルに光るタイルの床で大理石の猫足バスタブが置かれている。床からは銀色に輝くシャワーヘッド付きのパイプが伸び、お湯と水が出るようになっている。備え付けの棚には清潔そうな真っ白なタオルが何枚も置かれているし、身体を洗う石鹸に大きなスポンジ迄用意されていた。
ふ~ん……これほど立派なバスルームが付いているのに、わざわざメイドを呼んでバスルームへ行ったと言う事は……。
「うん、きっとアレだな。アレに違いない……」
だから愛人が出来るのか。
私は1人で納得し、1人で頷くと着替えを取りに客室へ戻った――