政略結婚した夫の愛人は私の専属メイドだったので離婚しようと思います
6-2 ミラージュの後始末
ランス王子の召集令状? からきっかり1時間半後――
宰相、摂政、大臣、副大臣、政務官、補佐官、官房長官……等々覚えきれないので割愛するけれども、とにかく国のお偉方総勢10名が王宮の裏山に集められた。
それにしても、私は少しだけランス王子を恨みたくなってしまった。確かにお偉い方々を集めて欲しいとは頼んだけれども少しやりすぎではないだろうか?
彼らはこの国の中枢を担う大切な役目を持った方々。
片や私は今にもこの国を追い出されるかもしれない風前の灯火状態の王女である。
そのような立場の私に強引に裏山に集められたのだから当然面白くは無いだろう。
彼らが静かに怒りの目をこちらに向けてくるのがヒシヒシと伝わってくる。
だけど、ここで気後れしてはいけない。彼らの前で堂々と私の能力をアピールして、どれだけ私という人間が使える人間であるかを証明しなければ、私とミラージュは追い出されてしまうかもしれない。ここはミラージュの為にも、私が頑張らなければ。
「皆様、お忙しい中、私のような者の為にようこそお集まりいただきました」
すると彼らは口々に不満を言い始めた。
「ああ、そうだ。この忙しい時に……」
「私は会議の真っ最中だったのだ!」
「わしだってそうだ!」
「少ない睡眠時間の合間の仮眠中だったのに……」
等々。
「皆様、本当に申し訳ございません。それで小耳に挟んだのですが、皆様は私をもう用無しと判断されて国へ戻す計画を立てていると伺ったのですが?」
思い切り低姿勢で尋ねると、全員が私からサッと目を逸らせた。成程……やはり今私の眼前に立つ彼らは皆私を追い出したくてたまらないのだ。
するとついに今まで黙って私の傍でつるはしを持って立っていたミラージュが切れてしまった。
「ま……まあっ! 何ですかっ!? 仮にもレベッカ様の前でよくもそのような態度を取れますね。さてはあなた方全員痛い目に遭いたいようですねっ!?」
ミラージュは片手でつるはしを持ってくるくると回すと、彼らの眼前で地面に突き刺した。
ドスッ!
つるはしは鈍い音を立てて地面に刺さり……。
ピシピシピシッ!
途端に突き刺さったつるはしを中心に亀裂がまるで蜘蛛の巣のように広がって行く。
「ギャアアアッ!!」
「じ、地面がひび割れたッ!」
「何て馬鹿力なんだっ!!」
彼らは大げさなくらい騒ぎ立てる。全く……これ位どうって事は無いのに。
「何ですかッ!? まだ何かっ!?」
ハッ! ま、まずい…!
ミラージュが超音波付きの声で叫んでしまった。
途端に辺りの空気はブルブル震え、木々はざわめき、鳥はバサバサと飛び立ち……その場にいた全員(ランス王子も含めて)が耳を押さえて悶絶し始めた。
「グアアッ! み、耳が耳がカーンとするっ!」
「な、何なんだっ!? あの女は……ほ、ほんとに人間かっ!?」
私は慌ててミラージュを止めた。
「ミラージュッ! 目を閉じて! 落ち着いて、ほら……す~っと深呼吸して……」
「す~…」
ミラージュは私に言われるまま、目を閉じて深呼吸した。
「申し訳ございませんでした。レベッカ様……つい興奮をしてしまいました」
ミラージュは申し訳なさそうに地面をチラリと見ると、そこにはランス王子を含めた10人のお偉い方々が全員地面の上で伸びている。
「どうしましょう……レベッカ様……」
「まぁ.…..ちょっとだけ時を巻き戻せばいいだけだから何とかなるでしょう?」
そして私は指をパチンと鳴らした――
宰相、摂政、大臣、副大臣、政務官、補佐官、官房長官……等々覚えきれないので割愛するけれども、とにかく国のお偉方総勢10名が王宮の裏山に集められた。
それにしても、私は少しだけランス王子を恨みたくなってしまった。確かにお偉い方々を集めて欲しいとは頼んだけれども少しやりすぎではないだろうか?
彼らはこの国の中枢を担う大切な役目を持った方々。
片や私は今にもこの国を追い出されるかもしれない風前の灯火状態の王女である。
そのような立場の私に強引に裏山に集められたのだから当然面白くは無いだろう。
彼らが静かに怒りの目をこちらに向けてくるのがヒシヒシと伝わってくる。
だけど、ここで気後れしてはいけない。彼らの前で堂々と私の能力をアピールして、どれだけ私という人間が使える人間であるかを証明しなければ、私とミラージュは追い出されてしまうかもしれない。ここはミラージュの為にも、私が頑張らなければ。
「皆様、お忙しい中、私のような者の為にようこそお集まりいただきました」
すると彼らは口々に不満を言い始めた。
「ああ、そうだ。この忙しい時に……」
「私は会議の真っ最中だったのだ!」
「わしだってそうだ!」
「少ない睡眠時間の合間の仮眠中だったのに……」
等々。
「皆様、本当に申し訳ございません。それで小耳に挟んだのですが、皆様は私をもう用無しと判断されて国へ戻す計画を立てていると伺ったのですが?」
思い切り低姿勢で尋ねると、全員が私からサッと目を逸らせた。成程……やはり今私の眼前に立つ彼らは皆私を追い出したくてたまらないのだ。
するとついに今まで黙って私の傍でつるはしを持って立っていたミラージュが切れてしまった。
「ま……まあっ! 何ですかっ!? 仮にもレベッカ様の前でよくもそのような態度を取れますね。さてはあなた方全員痛い目に遭いたいようですねっ!?」
ミラージュは片手でつるはしを持ってくるくると回すと、彼らの眼前で地面に突き刺した。
ドスッ!
つるはしは鈍い音を立てて地面に刺さり……。
ピシピシピシッ!
途端に突き刺さったつるはしを中心に亀裂がまるで蜘蛛の巣のように広がって行く。
「ギャアアアッ!!」
「じ、地面がひび割れたッ!」
「何て馬鹿力なんだっ!!」
彼らは大げさなくらい騒ぎ立てる。全く……これ位どうって事は無いのに。
「何ですかッ!? まだ何かっ!?」
ハッ! ま、まずい…!
ミラージュが超音波付きの声で叫んでしまった。
途端に辺りの空気はブルブル震え、木々はざわめき、鳥はバサバサと飛び立ち……その場にいた全員(ランス王子も含めて)が耳を押さえて悶絶し始めた。
「グアアッ! み、耳が耳がカーンとするっ!」
「な、何なんだっ!? あの女は……ほ、ほんとに人間かっ!?」
私は慌ててミラージュを止めた。
「ミラージュッ! 目を閉じて! 落ち着いて、ほら……す~っと深呼吸して……」
「す~…」
ミラージュは私に言われるまま、目を閉じて深呼吸した。
「申し訳ございませんでした。レベッカ様……つい興奮をしてしまいました」
ミラージュは申し訳なさそうに地面をチラリと見ると、そこにはランス王子を含めた10人のお偉い方々が全員地面の上で伸びている。
「どうしましょう……レベッカ様……」
「まぁ.…..ちょっとだけ時を巻き戻せばいいだけだから何とかなるでしょう?」
そして私は指をパチンと鳴らした――