政略結婚した夫の愛人は私の専属メイドだったので離婚しようと思います
6-13 理解出来ない男の行動
「う~ん……それにしても謎です」
私は幸せそうに2人がサンドイッチを食べている様子を眺めながら疑問を口にした。
「何が謎なんだい?」
同じく茂みの隙間から2人の様子を窺っていたランス王子が尋ねてきた。
「国を滅亡させた悪女のリーゼロッテをそこまで好きなのに、何故アレックス王子は色々な女性をとっかえひっかえしているのでしょうね? 普通好きな女性がいれば、その女性に操を立てるものじゃないですか? それなのにアレックス王子はガーランド王国でも別の女性と床を共にしていたんですよ。捕らえられていたリーゼロッテがあの国にいたにも関わらず」
「何だって? その話は本当なのかい?」
流石のランス王子も顔を青ざめていた。
「ええ、勿論ですよ。サミュエル王子と2人で確認しましたから」
「は? 今何て言ったのかな?」
引きつった笑みを浮かべながらランス王子は言った。
「ええ、前日の夜にパーティー会場で知り合った女性とベッドの中にいたところを私とサミュエル王子の2人で突入したのです。それでサミュエル王子がアレックス王子に昨夜はお楽しみの夜だったなと尋ねたところ、その女性は風邪を引いていて、酷く寒がっていたから人肌で温め合っていたと答えたのですよ」
「何だって……? アレックスはそんな事を……?」
ランス王子は溜息をついた。
「普通に考えれば愛しい恋人がいるのであれば、尚更浮気なんてしないと思うのですけどね。まして囚われた恋人がいる国でなんて」
「う~ん……僕には考えられないけどね。世の中には恋人がいようが夫婦であろうが浮気をする男はいるけど……あ、勿論僕はそんなタイプの男じゃないからね。それに……」
ランス王子はじっと私の目を見た。
「僕だったら君のような美しい女性が傍にいれば、絶対に他の女性に手なんか出さないけどね。本当に残念だよ。アレックスには勿体なさすぎる。僕に王位継承権があれば絶対に君を妻にして幸せにしてあげたのに」
どこまで本気で言ってるのか分からないけども、ランス王子は熱い口調で語ってくる。
「そうですか……ありがとうございます」
社交辞令として受け取っておこう。私は改めてアレックス王子を見た。
うん……やはり問い詰めたい。
リーゼロッテと言う恋人がいるのに、何故他の女性と床を共に出来るのか――
ランス王子と別れて、部屋に戻ると既に廊下に出しておいた朝食済みのカートが消えていた。恐らくリーゼロッテが下げてくれたのだろう。
部屋に戻り、テーブルの上に広げて置いた作りかけのパッチワークの続きを始めていると、突然乱暴に扉をノックされた。
コンコンコンコンッ!
あの乱暴なノックの仕方は……あの人物しかいないだろう。溜息をついて、扉を開けると眉間にしわを寄せて、怒りを抑えた様子のアレックス王子が立っていた。きっと……これはアレだ。また私に何か文句を言いにやって来たのだろう?
尤も私には心当たりは何も無いけれども。
「……入るぞ」
アレックス王子は私の返事も聞かずにズカズカと部屋に入ってくると、私のお気に入りのカウチソファにドカリと座る。
「おい、お前……」
「はい、何でしょう?」
立ったまま返事をした。
「……」
アレックス王子は黙って私を見ている。
「?」
思わず首を傾げた。
「座れ」
「え?」
「いいから、俺の向かい側の椅子に座れ。見下ろされているようで気分が悪い」
自分で勝手にソファに座ったくせにと頭の中で思いつつ、渋々私は向かい側の椅子に座った――
私は幸せそうに2人がサンドイッチを食べている様子を眺めながら疑問を口にした。
「何が謎なんだい?」
同じく茂みの隙間から2人の様子を窺っていたランス王子が尋ねてきた。
「国を滅亡させた悪女のリーゼロッテをそこまで好きなのに、何故アレックス王子は色々な女性をとっかえひっかえしているのでしょうね? 普通好きな女性がいれば、その女性に操を立てるものじゃないですか? それなのにアレックス王子はガーランド王国でも別の女性と床を共にしていたんですよ。捕らえられていたリーゼロッテがあの国にいたにも関わらず」
「何だって? その話は本当なのかい?」
流石のランス王子も顔を青ざめていた。
「ええ、勿論ですよ。サミュエル王子と2人で確認しましたから」
「は? 今何て言ったのかな?」
引きつった笑みを浮かべながらランス王子は言った。
「ええ、前日の夜にパーティー会場で知り合った女性とベッドの中にいたところを私とサミュエル王子の2人で突入したのです。それでサミュエル王子がアレックス王子に昨夜はお楽しみの夜だったなと尋ねたところ、その女性は風邪を引いていて、酷く寒がっていたから人肌で温め合っていたと答えたのですよ」
「何だって……? アレックスはそんな事を……?」
ランス王子は溜息をついた。
「普通に考えれば愛しい恋人がいるのであれば、尚更浮気なんてしないと思うのですけどね。まして囚われた恋人がいる国でなんて」
「う~ん……僕には考えられないけどね。世の中には恋人がいようが夫婦であろうが浮気をする男はいるけど……あ、勿論僕はそんなタイプの男じゃないからね。それに……」
ランス王子はじっと私の目を見た。
「僕だったら君のような美しい女性が傍にいれば、絶対に他の女性に手なんか出さないけどね。本当に残念だよ。アレックスには勿体なさすぎる。僕に王位継承権があれば絶対に君を妻にして幸せにしてあげたのに」
どこまで本気で言ってるのか分からないけども、ランス王子は熱い口調で語ってくる。
「そうですか……ありがとうございます」
社交辞令として受け取っておこう。私は改めてアレックス王子を見た。
うん……やはり問い詰めたい。
リーゼロッテと言う恋人がいるのに、何故他の女性と床を共に出来るのか――
ランス王子と別れて、部屋に戻ると既に廊下に出しておいた朝食済みのカートが消えていた。恐らくリーゼロッテが下げてくれたのだろう。
部屋に戻り、テーブルの上に広げて置いた作りかけのパッチワークの続きを始めていると、突然乱暴に扉をノックされた。
コンコンコンコンッ!
あの乱暴なノックの仕方は……あの人物しかいないだろう。溜息をついて、扉を開けると眉間にしわを寄せて、怒りを抑えた様子のアレックス王子が立っていた。きっと……これはアレだ。また私に何か文句を言いにやって来たのだろう?
尤も私には心当たりは何も無いけれども。
「……入るぞ」
アレックス王子は私の返事も聞かずにズカズカと部屋に入ってくると、私のお気に入りのカウチソファにドカリと座る。
「おい、お前……」
「はい、何でしょう?」
立ったまま返事をした。
「……」
アレックス王子は黙って私を見ている。
「?」
思わず首を傾げた。
「座れ」
「え?」
「いいから、俺の向かい側の椅子に座れ。見下ろされているようで気分が悪い」
自分で勝手にソファに座ったくせにと頭の中で思いつつ、渋々私は向かい側の椅子に座った――