身代わり婚~暴君と呼ばれた辺境伯に拒絶された仮初の花嫁
7-18 不気味に響く笑い声
「え……? 私がランベール様が殺害されることになった事の発端……ですか……?」
アリアドネは震えながらオズワルドを見た。
「ああ、そうだ。もとはと言えばお前がおとなしくランベール様に従っていればエルウィン様とて、激怒されてあの方を地下牢へ入れることはしなかっただろう。しかし、お前が騒ぎ立て、拒絶した為にランベール様は地下牢へ閉じ込められた。その結果何者かに殺害されてしまった。つまり地下牢へ閉じ込められていなければ、あの方は死ぬことは無かったのだ」
オズワルドの話は言いがかりも甚だしいものだったが、オズワルドに睨まれながらランベール殺害の発端を責められたアリアドネは冷静さを完全に失っていた。
「そ、それは……」
思わず項垂れるとさらにオズワルドは追い打ちをかける。
「お前はミカエル様とウリエル様を知っているだろう?」
「は、はい……一度…作業場にエルウィン様に連れられていらしたことがありますので……」
「あんなに幼い子供たちは、心から慕う父親を亡くしてしまったのだ。お気の毒だとは思わないのか?」
オズワルドは口から出まかせを言った。
ミカエルとウリエルがランベールを父として慕った事など一度も無い。何故なら2人の子供たちはランベールと一緒に過ごしたことは殆ど無かったからだ。
しかしオズワルドはアリアドネを脅迫する為に、あえてミカエルとウリエルの話まで持ち出してきたのだ。
「そ、それは……」
「お2人から父親を奪った責任を果たすべきであろう?」
「!」
その言葉は決定打となった。
(私が原因でランベール様は……。そしてミカエル様とウリエル様から父親を奪ってしまった……)
「承知致しました。謹んで…ミカエル様とウリエル様専属メイドを承ります…」
アリアドネはついに頷いた。
「よし、分かった。それでは近日中にお前の部屋を用意させよう。当然部屋はミカエル様とウリエル様の隣にさせる。お前はお2人の専属メイドなのだからな。こちらから連絡が行くまでは仕事場で通常通りの業務を行うと良い。そしてお前が正式にメイドになるまでは、このことは他言無用だ。分かったな?」
「はい、分かりました」
「よし、それならもうお前に用は無い。外にロイを待たせてある。そいつにもう一度仕事場まで送らせよう。何しろこの城はところどころ迷路のように入り組んでいるからな」
「……それでは失礼致します」
アリアドネは頭を下げると部屋を出て行った。
パタン……
部屋の扉が閉じられた途端、オズワルドは不気味な笑みを浮かべた。
「クックック……本当に何と単純な娘だ……」
思わず口に出して呟いていた。
(あの娘にならミカエルもウリエルも懐くかもしれない。まずは2人の信頼を得るように命じるか。それにあの潔癖なエルウィンも娘のことは気にかけているようだし。そうだ、ついでにエルウィンにも近づかせ…油断させて奴の弱みを握らせよう。何……どうせあの娘は私に正体を知られているのだからいいなりになるしか無いのだからな)
「アリアドネ……。これからお前には私の忠実な駒として働いてもらうからな……」
オズワルドの不気味な笑い声が部屋に響き渡った――
アリアドネは震えながらオズワルドを見た。
「ああ、そうだ。もとはと言えばお前がおとなしくランベール様に従っていればエルウィン様とて、激怒されてあの方を地下牢へ入れることはしなかっただろう。しかし、お前が騒ぎ立て、拒絶した為にランベール様は地下牢へ閉じ込められた。その結果何者かに殺害されてしまった。つまり地下牢へ閉じ込められていなければ、あの方は死ぬことは無かったのだ」
オズワルドの話は言いがかりも甚だしいものだったが、オズワルドに睨まれながらランベール殺害の発端を責められたアリアドネは冷静さを完全に失っていた。
「そ、それは……」
思わず項垂れるとさらにオズワルドは追い打ちをかける。
「お前はミカエル様とウリエル様を知っているだろう?」
「は、はい……一度…作業場にエルウィン様に連れられていらしたことがありますので……」
「あんなに幼い子供たちは、心から慕う父親を亡くしてしまったのだ。お気の毒だとは思わないのか?」
オズワルドは口から出まかせを言った。
ミカエルとウリエルがランベールを父として慕った事など一度も無い。何故なら2人の子供たちはランベールと一緒に過ごしたことは殆ど無かったからだ。
しかしオズワルドはアリアドネを脅迫する為に、あえてミカエルとウリエルの話まで持ち出してきたのだ。
「そ、それは……」
「お2人から父親を奪った責任を果たすべきであろう?」
「!」
その言葉は決定打となった。
(私が原因でランベール様は……。そしてミカエル様とウリエル様から父親を奪ってしまった……)
「承知致しました。謹んで…ミカエル様とウリエル様専属メイドを承ります…」
アリアドネはついに頷いた。
「よし、分かった。それでは近日中にお前の部屋を用意させよう。当然部屋はミカエル様とウリエル様の隣にさせる。お前はお2人の専属メイドなのだからな。こちらから連絡が行くまでは仕事場で通常通りの業務を行うと良い。そしてお前が正式にメイドになるまでは、このことは他言無用だ。分かったな?」
「はい、分かりました」
「よし、それならもうお前に用は無い。外にロイを待たせてある。そいつにもう一度仕事場まで送らせよう。何しろこの城はところどころ迷路のように入り組んでいるからな」
「……それでは失礼致します」
アリアドネは頭を下げると部屋を出て行った。
パタン……
部屋の扉が閉じられた途端、オズワルドは不気味な笑みを浮かべた。
「クックック……本当に何と単純な娘だ……」
思わず口に出して呟いていた。
(あの娘にならミカエルもウリエルも懐くかもしれない。まずは2人の信頼を得るように命じるか。それにあの潔癖なエルウィンも娘のことは気にかけているようだし。そうだ、ついでにエルウィンにも近づかせ…油断させて奴の弱みを握らせよう。何……どうせあの娘は私に正体を知られているのだからいいなりになるしか無いのだからな)
「アリアドネ……。これからお前には私の忠実な駒として働いてもらうからな……」
オズワルドの不気味な笑い声が部屋に響き渡った――