身代わり婚~暴君と呼ばれた辺境伯に拒絶された仮初の花嫁
1-17 出会い
城の大扉の前にアリアドネ達が乗ってきた馬車はそのままの状態に置かれていた。
大扉の前には2人の騎士たちが見張り番をしている。彼等はアリアドネとヨゼフを城に招き入れた騎士たちだ。
彼等は城から出てきたアリアドネとヨゼフに早速絡み始めた。
「よぉ、思った通り追い返されるんだな? やっぱりお前地は偽者だったのだろう?」
「花嫁と名乗ってエルウィン様の逆鱗に触れて殺されなかっただけマシだと思え」
2人の騎士はアリアドネとヨゼフに容赦ない言葉を投げつけてくる。
(何と酷い言葉をこの騎士たちは言うのだ……!)
ヨゼフは一言物申したかったが、相手は戦い慣れた屈強の騎士達。そして隣には傷ついたアリアドネがいる。
「どうも……お騒がせ致しました……」
ヨゼフは言いたい言葉を全て飲み込み、2人の騎士に頭を下げた。
「お邪魔致しました……」
アリアドネも泣きたい気持ちを堪えて頭を下げた。すると騎士の1人がアリアドネにズカズカと近付いてきた。
(な、何!?)
アリアドネは突然大柄な騎士が近付いてきた為、恐怖のあまりビクリと肩が動いた。
「な、何をされるのですかっ!」
ヨゼフは慌ててアリアドネと騎士の間に割って入るも、乱暴に突き飛ばされしまった。
「邪魔だ、爺っ!」
ドサッ!!
「ウッ!」
突き飛ばされたはずみで地面に倒れたヨゼフは思わず痛みで声を上げた。
「ヨゼフさんっ!」
アリアドネは地面に倒れたヨゼフを見て叫んだ。
「よせっ! アリアドネに何をするのだっ!」
体を打ちつけたヨゼフは痛みを堪えてアリアドネに近付く騎士に訴えた。
「煩いな……。城を出る前に顔を拝んでやろうと思っただけだ。どうせこんなヴェールなど被っているくらいなのだから醜悪な女なんだろう?」
言いながら乱暴に騎士はアリアドネからヴェールを剥ぎ取った。
「キャッ!」
乱暴にヴェールを剥ぎ取られ、アリアドネは悲鳴を上げた。
「へぇ……これはなかなかじゃないか」
「ほ〜う……」
ヴェールを剥ぎ取られた勢いで、アリアドネの結い上げていた長い髪が解けた。
ミルキーブロンドのストレートヘアーに紫の瞳の美しいアリアドネの顔を目にした途端、2人の兵士から感嘆のため息が漏れる。
「これは驚いたな……ヴェールを被っているからどれほどの醜悪な女かと思っていたのだが……」
言うなり、兵士はアリアドネの顎を乱暴につまむと自分の方に向けさせた。
「い、痛っ!」
乱暴につかまれ、思わずアリアドネの口から声が漏れる。
「こんな美女が現れるとはなぁ……」
騎士がニヤリと口元に笑みを浮かべた。
「やめてくれっ! アリアドネを離してくれっ! えっ!? なっ、何をするっ!!」
なんとか立ち上がったヨゼフの身体を別の騎士が後ろから羽交い締めにしたのだ。
「あ〜ったく……うるせえ爺だなぁ……静かにしてろよ」
「ヨゼフさんっ!」
顎を掴まれたままのアリアドネが必死に叫んだ。
「全く煩い奴らだ……」
アリアドネを捕まえている騎士の目が険しくなった時。
「おいっ! お前等っ! そこでなにをしているのだ!」
馬の駆ける蹄の音と共に、鋭い声が上がった。途端に2人の騎士に驚愕の表情が浮かぶ。
「あっ! シュ……シュミット様!」
アリアドネを掴んでいた騎士が慌ててその手を離した。
「貴様らそれでも騎士かっ!!」
馬を停止させ、馬上から飛び降りるとスティーブは2人の騎士を怒鳴りつけた。
「「も、申し訳ございません!!」」
スティーブの言葉に2人の騎士は片膝をついて深々と頭を下げた。
「お前たちには懲罰を与える! ついて来い!」
スティーブは2人の騎士を連れて、城内へと入って行った。
「大丈夫だったか? アリアドネ」
騎士から開放されたヨゼフはアリアドネに駆け寄ると声をかけた。
「は、はい……私は大丈夫です……ヨゼフさんは……?」
「あ、ああ。私なら大丈夫だよ」
そこへシュミットがアリアドネに近付き、2人の前に頭を下げた。
「大変申し訳ございません。ミレーユ様。2人の騎士には厳罰を科しますので、どうぞお許し頂けないでしょうか?」
「あ、あの……貴方は……?」
声をかけられたアリアドネはシュミットを見つめた。
「私は城主であるエルウィン様の執事をつとめるシュミット・プロムベルクと申します。どうぞ宜しくお願い致します」
そして顔を上げた。
「シュミット様……」
「どうぞ、シュミットとお呼び下さい」
そして優しい笑みを浮かべてアリアドネを見つめる。
その顔を見てアリアドネは思った。
なんて美しい髪を持つ男性なのだろう――と。
大扉の前には2人の騎士たちが見張り番をしている。彼等はアリアドネとヨゼフを城に招き入れた騎士たちだ。
彼等は城から出てきたアリアドネとヨゼフに早速絡み始めた。
「よぉ、思った通り追い返されるんだな? やっぱりお前地は偽者だったのだろう?」
「花嫁と名乗ってエルウィン様の逆鱗に触れて殺されなかっただけマシだと思え」
2人の騎士はアリアドネとヨゼフに容赦ない言葉を投げつけてくる。
(何と酷い言葉をこの騎士たちは言うのだ……!)
ヨゼフは一言物申したかったが、相手は戦い慣れた屈強の騎士達。そして隣には傷ついたアリアドネがいる。
「どうも……お騒がせ致しました……」
ヨゼフは言いたい言葉を全て飲み込み、2人の騎士に頭を下げた。
「お邪魔致しました……」
アリアドネも泣きたい気持ちを堪えて頭を下げた。すると騎士の1人がアリアドネにズカズカと近付いてきた。
(な、何!?)
アリアドネは突然大柄な騎士が近付いてきた為、恐怖のあまりビクリと肩が動いた。
「な、何をされるのですかっ!」
ヨゼフは慌ててアリアドネと騎士の間に割って入るも、乱暴に突き飛ばされしまった。
「邪魔だ、爺っ!」
ドサッ!!
「ウッ!」
突き飛ばされたはずみで地面に倒れたヨゼフは思わず痛みで声を上げた。
「ヨゼフさんっ!」
アリアドネは地面に倒れたヨゼフを見て叫んだ。
「よせっ! アリアドネに何をするのだっ!」
体を打ちつけたヨゼフは痛みを堪えてアリアドネに近付く騎士に訴えた。
「煩いな……。城を出る前に顔を拝んでやろうと思っただけだ。どうせこんなヴェールなど被っているくらいなのだから醜悪な女なんだろう?」
言いながら乱暴に騎士はアリアドネからヴェールを剥ぎ取った。
「キャッ!」
乱暴にヴェールを剥ぎ取られ、アリアドネは悲鳴を上げた。
「へぇ……これはなかなかじゃないか」
「ほ〜う……」
ヴェールを剥ぎ取られた勢いで、アリアドネの結い上げていた長い髪が解けた。
ミルキーブロンドのストレートヘアーに紫の瞳の美しいアリアドネの顔を目にした途端、2人の兵士から感嘆のため息が漏れる。
「これは驚いたな……ヴェールを被っているからどれほどの醜悪な女かと思っていたのだが……」
言うなり、兵士はアリアドネの顎を乱暴につまむと自分の方に向けさせた。
「い、痛っ!」
乱暴につかまれ、思わずアリアドネの口から声が漏れる。
「こんな美女が現れるとはなぁ……」
騎士がニヤリと口元に笑みを浮かべた。
「やめてくれっ! アリアドネを離してくれっ! えっ!? なっ、何をするっ!!」
なんとか立ち上がったヨゼフの身体を別の騎士が後ろから羽交い締めにしたのだ。
「あ〜ったく……うるせえ爺だなぁ……静かにしてろよ」
「ヨゼフさんっ!」
顎を掴まれたままのアリアドネが必死に叫んだ。
「全く煩い奴らだ……」
アリアドネを捕まえている騎士の目が険しくなった時。
「おいっ! お前等っ! そこでなにをしているのだ!」
馬の駆ける蹄の音と共に、鋭い声が上がった。途端に2人の騎士に驚愕の表情が浮かぶ。
「あっ! シュ……シュミット様!」
アリアドネを掴んでいた騎士が慌ててその手を離した。
「貴様らそれでも騎士かっ!!」
馬を停止させ、馬上から飛び降りるとスティーブは2人の騎士を怒鳴りつけた。
「「も、申し訳ございません!!」」
スティーブの言葉に2人の騎士は片膝をついて深々と頭を下げた。
「お前たちには懲罰を与える! ついて来い!」
スティーブは2人の騎士を連れて、城内へと入って行った。
「大丈夫だったか? アリアドネ」
騎士から開放されたヨゼフはアリアドネに駆け寄ると声をかけた。
「は、はい……私は大丈夫です……ヨゼフさんは……?」
「あ、ああ。私なら大丈夫だよ」
そこへシュミットがアリアドネに近付き、2人の前に頭を下げた。
「大変申し訳ございません。ミレーユ様。2人の騎士には厳罰を科しますので、どうぞお許し頂けないでしょうか?」
「あ、あの……貴方は……?」
声をかけられたアリアドネはシュミットを見つめた。
「私は城主であるエルウィン様の執事をつとめるシュミット・プロムベルクと申します。どうぞ宜しくお願い致します」
そして顔を上げた。
「シュミット様……」
「どうぞ、シュミットとお呼び下さい」
そして優しい笑みを浮かべてアリアドネを見つめる。
その顔を見てアリアドネは思った。
なんて美しい髪を持つ男性なのだろう――と。