身代わり婚~暴君と呼ばれた辺境伯に拒絶された仮初の花嫁
11-3 捕らえられる人々
「何だか今日は騒がしいねぇ……」
仕事場でいつものように豆の選別作業をしていたマリアが窓の外を外を見た。
「そうだね……越冬期間が明けて領民達も全員去っていったのだから、もう少し静かなはずなのに……」
イゾルネは粉挽きの仕事をしながら相槌を打つ。
「そう言えば先程、大勢の騎士様達が厩舎へ向かう姿を見ましたよ?何だかかなり慌てていた様子でした」
すぐ側でドライハーブを作っていたセリアが2人に教えた。
「「え……?」」
すると、そこへ責任者のビルが慌てた様子で仕事場に駆けつけてくると声を張り上げた。
「皆っ! 大変だっ! 仕事の手を休めて集まってくれっ!!」
ただ事ではないビルの様子に驚いた下働きの者達は一斉にビルの元へ駆けつけて来た。
「一体何があったんだい?」
マリアがビルに尋ねた。
「あ、ああ……実は先ほど、エルウィン様が騎士様達を引き連れて宿場村へ向かわれたのだ。そこで居残りした騎士様達に尋ねたところ、アリアドネが攫われたらしい」
「何ですってっ!?」
セリアが悲痛な声を上げる。
「さ、攫われたって……一体誰に攫われたんだいっ!?」
イゾルネの問いかけに、ビルはためらいがちに答えた。
「それが……攫ったのはダリウスらしい。彼は……『カフィア』王国の第一王子だったそうだ……」
「何だって!? ダリウスがっ!?」
声を上げたマリアはふと思った。
そう言えばダリウスは時々平民ではありえないような横柄な態度を、エルウィンやスティーブに取っていたということを。
「それでダリウスはアリアドネを攫っていったのか?」
「アイツ……アリアドネに執着していたからな……」
ダリウスとよく一緒に仕事をしていた男たちが頷く。
「それだけじゃない! 今、南塔と東塔で騎士様や兵士達の戦闘が起きているっ! 反乱が起きたんだよっ!」
「な、何だってっ! 反乱っ!? い、一体誰が……いや、そんなことは後回しだっ!! 皆っ! 武器を持つんだよっ!! 加勢に行くんだっ!! 我らの主はエルウィン様なのだからねっ!」
マリアが声を張り上げた時……。
「そうはさせぬ!」
地下通路から声が響き渡った。
その場にいた全員が驚いて振り向くと、そこには剣を構えた東塔の騎士が兵士達を引き連れて姿を現したのだ。
その人数は20人を優に超えている。
兵士達を前に、彼らは息を呑んだ。
「貴様らが全員エルウィンの味方なのは分かっている!! これよりこのアイゼンシュタット城はオズワルド様の物になるのだっ!! 貴様たちは全員人質だっ!」
武器を手にしていなかったビルたちは、抵抗する間もなく全員囚われの身となってし
まった。
「貴様ら……抵抗しようなどと、無駄なことは考えるなよ?」
拘束されたマリア達を騎士は見渡すと兵士達に命じた。
「全員、こいつらを地下牢へ閉じ込めるのだっ!!」
『はっ!!』
……こうして、下働きの者達は全員オズワルドの部下によって地下牢へと連れていかれた。
ロイが閉じ込められている地下牢に。
そして、マリア達を捉えた兵士たちはロイが地下牢にいることをまだ知らない――
仕事場でいつものように豆の選別作業をしていたマリアが窓の外を外を見た。
「そうだね……越冬期間が明けて領民達も全員去っていったのだから、もう少し静かなはずなのに……」
イゾルネは粉挽きの仕事をしながら相槌を打つ。
「そう言えば先程、大勢の騎士様達が厩舎へ向かう姿を見ましたよ?何だかかなり慌てていた様子でした」
すぐ側でドライハーブを作っていたセリアが2人に教えた。
「「え……?」」
すると、そこへ責任者のビルが慌てた様子で仕事場に駆けつけてくると声を張り上げた。
「皆っ! 大変だっ! 仕事の手を休めて集まってくれっ!!」
ただ事ではないビルの様子に驚いた下働きの者達は一斉にビルの元へ駆けつけて来た。
「一体何があったんだい?」
マリアがビルに尋ねた。
「あ、ああ……実は先ほど、エルウィン様が騎士様達を引き連れて宿場村へ向かわれたのだ。そこで居残りした騎士様達に尋ねたところ、アリアドネが攫われたらしい」
「何ですってっ!?」
セリアが悲痛な声を上げる。
「さ、攫われたって……一体誰に攫われたんだいっ!?」
イゾルネの問いかけに、ビルはためらいがちに答えた。
「それが……攫ったのはダリウスらしい。彼は……『カフィア』王国の第一王子だったそうだ……」
「何だって!? ダリウスがっ!?」
声を上げたマリアはふと思った。
そう言えばダリウスは時々平民ではありえないような横柄な態度を、エルウィンやスティーブに取っていたということを。
「それでダリウスはアリアドネを攫っていったのか?」
「アイツ……アリアドネに執着していたからな……」
ダリウスとよく一緒に仕事をしていた男たちが頷く。
「それだけじゃない! 今、南塔と東塔で騎士様や兵士達の戦闘が起きているっ! 反乱が起きたんだよっ!」
「な、何だってっ! 反乱っ!? い、一体誰が……いや、そんなことは後回しだっ!! 皆っ! 武器を持つんだよっ!! 加勢に行くんだっ!! 我らの主はエルウィン様なのだからねっ!」
マリアが声を張り上げた時……。
「そうはさせぬ!」
地下通路から声が響き渡った。
その場にいた全員が驚いて振り向くと、そこには剣を構えた東塔の騎士が兵士達を引き連れて姿を現したのだ。
その人数は20人を優に超えている。
兵士達を前に、彼らは息を呑んだ。
「貴様らが全員エルウィンの味方なのは分かっている!! これよりこのアイゼンシュタット城はオズワルド様の物になるのだっ!! 貴様たちは全員人質だっ!」
武器を手にしていなかったビルたちは、抵抗する間もなく全員囚われの身となってし
まった。
「貴様ら……抵抗しようなどと、無駄なことは考えるなよ?」
拘束されたマリア達を騎士は見渡すと兵士達に命じた。
「全員、こいつらを地下牢へ閉じ込めるのだっ!!」
『はっ!!』
……こうして、下働きの者達は全員オズワルドの部下によって地下牢へと連れていかれた。
ロイが閉じ込められている地下牢に。
そして、マリア達を捉えた兵士たちはロイが地下牢にいることをまだ知らない――