身代わり婚~暴君と呼ばれた辺境伯に拒絶された仮初の花嫁
11-8 反乱
突然縄を解いて立ち上がったロイを見た兵士達の間に動揺が走った。
「な、何っ!? 縄がっ!」
「いつの間に解いたのだっ!」
ロイはそのまま勢いよく駆け出し、地下牢の鉄の扉を蹴った。
ガシャーンッ!!
扉が乱暴に開かれる音が地下牢に響き渡る。
ロイはそのまま兵士たちの元へ突っ込んでゆく。
「貴様っ!」
「や、奴を止めろっ!」
「馬鹿め!武器も持たないくせに!」
兵士達は剣を抜くとロイに切りかかってゆく。それを物ともせずにロイは身軽な動きで攻撃を避け、兵士たちの腕めがけて手刀を振り下ろして腹を蹴り上げる。
「ぐあああぁつ!!」
「うっ!」
「ゴフッ!」
体術も得意なロイに取って、下っ端の兵士たちは所詮敵にすらならなかった。
気を失い、床に転がっている兵士たちから全ての武器をロイは奪った。
「俺は剣が1本だけあればいい」
ロイは手近にいた拘束されている男の縄を解くと命じた。
「全員の拘束をとき、兵士たちを地下牢へ押し込めておけ」
「は、はい……分かりました」
男が頷く様子を見たロイはそのまま踵を返して地下牢へ出ようとしたところへビルが声を掛けた。
「騎士様っ!」
「何だ?」
「あ、貴方は……エルウィン様たちとは敵対する東塔の騎士様ですよね? 何故我らを助けたのですか? 我々はエルウィン様に加勢しようとしていたのですよ?」
するとロイは振り向き、答えた。
「東も南も関係ない。俺はただアリアドネを誘拐させたオズワルドが許せないだけだ」
「え? アリアドネ……」
「アリアドネの為に……?」
「まさか……」
ロイの口からアリアドネの名前が出てきたことで、下働きの者達の間でざわめきが起きた。
「もう捕まるなよ」
ロイはそれだけ言い残すと、剣を握りしめたまま地下牢を走り去っていった――
****
一方、城内では激しい戦いが起こっていた。
突然東塔の騎士や兵士たちが武装して南塔に乗り込み、次々と襲いかかってきたのだ。
南塔では激しい言い争いと剣を交わす音が響き渡っていた。
「な、何だっ! 貴様らっ! 東塔の兵士だろうっ!?」
「黙れっ! 今日からこの城はオズワルド様のものだっ!!」
「オズワルド様に従わないもののは全員殺してやるっ!」
「そうはさせるかっ!」
今や南と東に分かれた仲間内の激しい乱闘が城内で繰り広げられていた――
****
オズワルドの反乱は作戦会議室にいたシュミットとエデルガルトにすぐに伝えられた。
「そうか……やはり、奴らめ襲ってきおったか……」
兵士から報告を受けたエデルガルトが唸った。
「はい、奴等は武器庫から相当数の武器を持ち出し、完全武装しております」
兵士は状況を説明している。
「やはり、エルウィン様の不在を狙って襲ってきましたね」
シュミットの言葉にエデルガルトは頷く。
「ああ、だが我ら南塔の騎士団のほうが実戦経験を積んでいる。そう簡単には我らは陥落などせぬ」
その時、1人の騎士が慌てたように作戦会議室に飛び込んできた。
「た、大変ですっ! ミカエル様とウリエル様のお2人が部屋からいなくなりました! どうやら人質に連れて行かれたようです! フットマンが目撃していたそうですっ!」
「「何だってっ!?」」
シュミットとエデルガルトが同時に声を上げた――
「な、何っ!? 縄がっ!」
「いつの間に解いたのだっ!」
ロイはそのまま勢いよく駆け出し、地下牢の鉄の扉を蹴った。
ガシャーンッ!!
扉が乱暴に開かれる音が地下牢に響き渡る。
ロイはそのまま兵士たちの元へ突っ込んでゆく。
「貴様っ!」
「や、奴を止めろっ!」
「馬鹿め!武器も持たないくせに!」
兵士達は剣を抜くとロイに切りかかってゆく。それを物ともせずにロイは身軽な動きで攻撃を避け、兵士たちの腕めがけて手刀を振り下ろして腹を蹴り上げる。
「ぐあああぁつ!!」
「うっ!」
「ゴフッ!」
体術も得意なロイに取って、下っ端の兵士たちは所詮敵にすらならなかった。
気を失い、床に転がっている兵士たちから全ての武器をロイは奪った。
「俺は剣が1本だけあればいい」
ロイは手近にいた拘束されている男の縄を解くと命じた。
「全員の拘束をとき、兵士たちを地下牢へ押し込めておけ」
「は、はい……分かりました」
男が頷く様子を見たロイはそのまま踵を返して地下牢へ出ようとしたところへビルが声を掛けた。
「騎士様っ!」
「何だ?」
「あ、貴方は……エルウィン様たちとは敵対する東塔の騎士様ですよね? 何故我らを助けたのですか? 我々はエルウィン様に加勢しようとしていたのですよ?」
するとロイは振り向き、答えた。
「東も南も関係ない。俺はただアリアドネを誘拐させたオズワルドが許せないだけだ」
「え? アリアドネ……」
「アリアドネの為に……?」
「まさか……」
ロイの口からアリアドネの名前が出てきたことで、下働きの者達の間でざわめきが起きた。
「もう捕まるなよ」
ロイはそれだけ言い残すと、剣を握りしめたまま地下牢を走り去っていった――
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一方、城内では激しい戦いが起こっていた。
突然東塔の騎士や兵士たちが武装して南塔に乗り込み、次々と襲いかかってきたのだ。
南塔では激しい言い争いと剣を交わす音が響き渡っていた。
「な、何だっ! 貴様らっ! 東塔の兵士だろうっ!?」
「黙れっ! 今日からこの城はオズワルド様のものだっ!!」
「オズワルド様に従わないもののは全員殺してやるっ!」
「そうはさせるかっ!」
今や南と東に分かれた仲間内の激しい乱闘が城内で繰り広げられていた――
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オズワルドの反乱は作戦会議室にいたシュミットとエデルガルトにすぐに伝えられた。
「そうか……やはり、奴らめ襲ってきおったか……」
兵士から報告を受けたエデルガルトが唸った。
「はい、奴等は武器庫から相当数の武器を持ち出し、完全武装しております」
兵士は状況を説明している。
「やはり、エルウィン様の不在を狙って襲ってきましたね」
シュミットの言葉にエデルガルトは頷く。
「ああ、だが我ら南塔の騎士団のほうが実戦経験を積んでいる。そう簡単には我らは陥落などせぬ」
その時、1人の騎士が慌てたように作戦会議室に飛び込んできた。
「た、大変ですっ! ミカエル様とウリエル様のお2人が部屋からいなくなりました! どうやら人質に連れて行かれたようです! フットマンが目撃していたそうですっ!」
「「何だってっ!?」」
シュミットとエデルガルトが同時に声を上げた――