身代わり婚~暴君と呼ばれた辺境伯に拒絶された仮初の花嫁
11-9 エルウィンの指示
「何ということだ……! まさかオズワルドがよりにもよってランベール様の子どもたちを人質に取るとは……!」
エデルガルトが眉をしかめた。
「何という恐ろしい人物なのでしょう……。オズワルド様は、きっと今に何か言ってくるでしょうね……」
シュミットは頭を押さえた。
「とりあえず伝書鳩を飛ばして宿場村におられるエルウィン様に伝えるのだ!」
エデルガルトは状況を説明しに来た兵士に命じた。
「はいっ!」
兵士は大きく頷くと、駆け足で去っていった。
「まだ城内で激しい戦闘が起きているということはミカエル様とウリエル様がオズワルドの手によって人質になっている事実が知られてないのだろう。その前に我らが東塔に侵入出来れば良いのだが……」
エデルガルトはアイゼンシュタット城の地図を広げた。
「報告によれば東塔では既にバリケードが築かれているそうです」
シュミットは東塔の図面を指差す。
「どうやら東塔ではランベール様が勝手に城を改築し、彼等だけしか知らない秘密の抜け道があるそうです。それを見つけられれば潜入することが出来るのですが……」
シュミットの言葉にエデルガルトはますます険しい顔になる。
その時――
バーンッ!!
大きな銃声が外から聞こえた。
「何だっ!?」
「今の銃声は!?」
エデルガルトとシュミットが窓を開けた途端、大きな声が空に響き渡った。
「聞けっ!!南塔の者達よ!」
上空から響き渡るその声はオズワルドだった。
2人が声の聞こえてきた方角を見上げると、東塔の鐘つき台から人影が見えた。
「この城は今から我々の支配下に置かれることになる! もし歯向かうことになれば、この2人の命は無いと思えっ!」
そしてオズワルドに無理やり背中を押されて前に突き出されてきたのはミカエルとウリエルだった――
****
一方宿場村では――
「城が乗っ取られたとは……一体どういう事だっ!?」
エルウィンは報告に来たスティーブを怒鳴りつけた。
「はいっ! 伝書鳩が持ってきた伝令によると、オズワルドがミカエル様とウリエル様を人質に脅迫してきたそうです! 歯向かえばお2人の命はないものと思えとっ!!」
スティーブの言葉にアリアドネは青ざめた。
「そ、そんな……ミカエル様とウリエル様が……」
思わず足の力が抜け、崩れ落ちそうになるところをエルウィンが支えた。
「アリアドネッ! 大丈夫かっ!?」
「あ、ありがとうございます……」
エルウィンに支えられながらアリアドネは身体を震わせて礼を述べた。
「とにかく今すぐ隊を二分化するっ! 俺と直属の騎士団はすぐに城へ戻れっ! 残りの部隊はダリウス達の見張りだっ! 俺が戻るまで奴等から絶対に目を離すなっ!」
「はいっ!大将っ!」
スティーブは敬礼すると、すぐに部屋を飛び出した。
「くそっ……! オズワルドの奴め……っ! まさかミカエルとウリエルを人質にするとは……っ!」
ギリギリと悔しげに歯ぎしりをすると、次にアリアドネの方を振り向いた。
「アリアドネ、今アイゼンシュタット城は非常に危険な状態にある。お前は事が全て済むまでは城には戻らないほうがいい。ここにはダリウスの部隊が拘束されているが、何も心配することはない。見張りに騎士たちを残していくからな?」
「は、はい……分かりました……」
アリアドネは一瞬俯き……次に顔を上げてエルウィンを見つめた。
「御武運を……お祈り申し上げます」
「ああ、まかせろっ!」
エルウィンは頷くと、部屋を飛び出して行った――
エデルガルトが眉をしかめた。
「何という恐ろしい人物なのでしょう……。オズワルド様は、きっと今に何か言ってくるでしょうね……」
シュミットは頭を押さえた。
「とりあえず伝書鳩を飛ばして宿場村におられるエルウィン様に伝えるのだ!」
エデルガルトは状況を説明しに来た兵士に命じた。
「はいっ!」
兵士は大きく頷くと、駆け足で去っていった。
「まだ城内で激しい戦闘が起きているということはミカエル様とウリエル様がオズワルドの手によって人質になっている事実が知られてないのだろう。その前に我らが東塔に侵入出来れば良いのだが……」
エデルガルトはアイゼンシュタット城の地図を広げた。
「報告によれば東塔では既にバリケードが築かれているそうです」
シュミットは東塔の図面を指差す。
「どうやら東塔ではランベール様が勝手に城を改築し、彼等だけしか知らない秘密の抜け道があるそうです。それを見つけられれば潜入することが出来るのですが……」
シュミットの言葉にエデルガルトはますます険しい顔になる。
その時――
バーンッ!!
大きな銃声が外から聞こえた。
「何だっ!?」
「今の銃声は!?」
エデルガルトとシュミットが窓を開けた途端、大きな声が空に響き渡った。
「聞けっ!!南塔の者達よ!」
上空から響き渡るその声はオズワルドだった。
2人が声の聞こえてきた方角を見上げると、東塔の鐘つき台から人影が見えた。
「この城は今から我々の支配下に置かれることになる! もし歯向かうことになれば、この2人の命は無いと思えっ!」
そしてオズワルドに無理やり背中を押されて前に突き出されてきたのはミカエルとウリエルだった――
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一方宿場村では――
「城が乗っ取られたとは……一体どういう事だっ!?」
エルウィンは報告に来たスティーブを怒鳴りつけた。
「はいっ! 伝書鳩が持ってきた伝令によると、オズワルドがミカエル様とウリエル様を人質に脅迫してきたそうです! 歯向かえばお2人の命はないものと思えとっ!!」
スティーブの言葉にアリアドネは青ざめた。
「そ、そんな……ミカエル様とウリエル様が……」
思わず足の力が抜け、崩れ落ちそうになるところをエルウィンが支えた。
「アリアドネッ! 大丈夫かっ!?」
「あ、ありがとうございます……」
エルウィンに支えられながらアリアドネは身体を震わせて礼を述べた。
「とにかく今すぐ隊を二分化するっ! 俺と直属の騎士団はすぐに城へ戻れっ! 残りの部隊はダリウス達の見張りだっ! 俺が戻るまで奴等から絶対に目を離すなっ!」
「はいっ!大将っ!」
スティーブは敬礼すると、すぐに部屋を飛び出した。
「くそっ……! オズワルドの奴め……っ! まさかミカエルとウリエルを人質にするとは……っ!」
ギリギリと悔しげに歯ぎしりをすると、次にアリアドネの方を振り向いた。
「アリアドネ、今アイゼンシュタット城は非常に危険な状態にある。お前は事が全て済むまでは城には戻らないほうがいい。ここにはダリウスの部隊が拘束されているが、何も心配することはない。見張りに騎士たちを残していくからな?」
「は、はい……分かりました……」
アリアドネは一瞬俯き……次に顔を上げてエルウィンを見つめた。
「御武運を……お祈り申し上げます」
「ああ、まかせろっ!」
エルウィンは頷くと、部屋を飛び出して行った――