身代わり婚~暴君と呼ばれた辺境伯に拒絶された仮初の花嫁
11-15 ロイとオズワルド 1
「どうやら誰にも見つからずに部屋を抜け出せたようだな……」
ミカエルとウリエルを南塔の裏庭へ連れ出したロイが城を見上た。
「ありがとう、ロイ!」
「やっぱりロイは頼りになるね」
ミカエルとウリエルは嬉しそうにロイを見上げた。
「……」
そんな2人を黙って見下ろすロイ。
無口で冷たい雰囲気をまとうロイにとって、ミカエルとウリエルは自分を偏見の目で見ないで気軽に接してくれる数少ない人物たちだった。
「どうしたの?」
「ロイ?」
ロイが何も言わないのでミカエルとウリエルは声をかけた。
「いや、何でもない。とにかくお前たちを何処か安全な場所に連れて……」
その時、庭の茂みがガサガサとなった。
「!!」
咄嗟にロイは2人を背後に庇うと、兵士から奪った銃を素早く向けた。
そして、茂みの中から現れた人物は……。
「まぁ! ミカエル様とウリエル様ではありませんかっ!」
それはセリアだった。
セリアは背中に弓矢を背負っている。
「あ! セリアだっ!」
「セリアッ!」
ミカエルとウリエルが手を振ると、セリアが駆け寄って来た。
「お2人とも……本当によくご無事で……」
セリアは2人の前にひざまずき、ロイを見上げた。
「あ、あの……もしや……?」
「あのね、ロイが僕たちを助けに来てくれたんだよ?」
「ロイってすごいよね~。沢山の兵士や騎士を1人で相手にしてきたんだから」
ミカエルとウリエルがまるで自分たちの手柄であるかのように得意げにセリアに説明する。
「そうだったのですか? まさか東塔の騎士様である方がミカエル様とウリエル様を助け出して下さるなんて……」
「東も南も関係ない。俺はアリアドネを攫わせたオズワルドが許せないだけだ。それではお前に2人を託す。必ず守ってやれ」
「はい。勿論です。騎士様はどちらへ行かれるのですか?」
「……オズワルドの所だ。俺はアイツに用がある」
それだけ言うと、ミカエルとウリエルの頭を撫でた。
「……元気でな」
それはまるで2人にとって別れの言葉のように聞こえた。
「え? ロイ?」
「どうしたの?」
けれど2人の問いかけに応えることなくロイは身をひるがえし、再び城の中へと戻って行った。
その後姿を見届けると、セリアはミカエルとウリエルに声をかけた。
「ミカエル様、ウリエル様。私についてきてください。仲間がいる場所へ案内いたしますので」
「分かったよ」
「うん」
こうしてミカエルとウリエルはセリア達によって城内にある秘密のアジトへ案内されて下働きの者達に保護されることになった――
****
「な、何だ……一体このありさまは……」
ミカエルとウリエルを軟禁していた部屋に戻ったオズワルドは目を見開いた。
部屋には2人の姿は無く、縛り上げられて気を失っている兵士や騎士達のみだ。
「これは……」
思わずオズワルドが息を呑んだ時……。
カタッ……
背後で音が聞こえた。
「何奴っ!?」
チャキッ!
オズワルドは素早く腰から拳銃を引き抜きざまに振り返り……目を見開いた。
そこには同じように銃を自分に向けたロイの姿があった――
ミカエルとウリエルを南塔の裏庭へ連れ出したロイが城を見上た。
「ありがとう、ロイ!」
「やっぱりロイは頼りになるね」
ミカエルとウリエルは嬉しそうにロイを見上げた。
「……」
そんな2人を黙って見下ろすロイ。
無口で冷たい雰囲気をまとうロイにとって、ミカエルとウリエルは自分を偏見の目で見ないで気軽に接してくれる数少ない人物たちだった。
「どうしたの?」
「ロイ?」
ロイが何も言わないのでミカエルとウリエルは声をかけた。
「いや、何でもない。とにかくお前たちを何処か安全な場所に連れて……」
その時、庭の茂みがガサガサとなった。
「!!」
咄嗟にロイは2人を背後に庇うと、兵士から奪った銃を素早く向けた。
そして、茂みの中から現れた人物は……。
「まぁ! ミカエル様とウリエル様ではありませんかっ!」
それはセリアだった。
セリアは背中に弓矢を背負っている。
「あ! セリアだっ!」
「セリアッ!」
ミカエルとウリエルが手を振ると、セリアが駆け寄って来た。
「お2人とも……本当によくご無事で……」
セリアは2人の前にひざまずき、ロイを見上げた。
「あ、あの……もしや……?」
「あのね、ロイが僕たちを助けに来てくれたんだよ?」
「ロイってすごいよね~。沢山の兵士や騎士を1人で相手にしてきたんだから」
ミカエルとウリエルがまるで自分たちの手柄であるかのように得意げにセリアに説明する。
「そうだったのですか? まさか東塔の騎士様である方がミカエル様とウリエル様を助け出して下さるなんて……」
「東も南も関係ない。俺はアリアドネを攫わせたオズワルドが許せないだけだ。それではお前に2人を託す。必ず守ってやれ」
「はい。勿論です。騎士様はどちらへ行かれるのですか?」
「……オズワルドの所だ。俺はアイツに用がある」
それだけ言うと、ミカエルとウリエルの頭を撫でた。
「……元気でな」
それはまるで2人にとって別れの言葉のように聞こえた。
「え? ロイ?」
「どうしたの?」
けれど2人の問いかけに応えることなくロイは身をひるがえし、再び城の中へと戻って行った。
その後姿を見届けると、セリアはミカエルとウリエルに声をかけた。
「ミカエル様、ウリエル様。私についてきてください。仲間がいる場所へ案内いたしますので」
「分かったよ」
「うん」
こうしてミカエルとウリエルはセリア達によって城内にある秘密のアジトへ案内されて下働きの者達に保護されることになった――
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「な、何だ……一体このありさまは……」
ミカエルとウリエルを軟禁していた部屋に戻ったオズワルドは目を見開いた。
部屋には2人の姿は無く、縛り上げられて気を失っている兵士や騎士達のみだ。
「これは……」
思わずオズワルドが息を呑んだ時……。
カタッ……
背後で音が聞こえた。
「何奴っ!?」
チャキッ!
オズワルドは素早く腰から拳銃を引き抜きざまに振り返り……目を見開いた。
そこには同じように銃を自分に向けたロイの姿があった――