身代わり婚~暴君と呼ばれた辺境伯に拒絶された仮初の花嫁
11-29 地下牢の3人
「全く……まさか捕まるとは思わなかったな……」
地下牢へ入れられたダリウスは忌々しげに呟いた。
本来であれば今頃はアリアドネを自分の物にしたうえで、隠していた小舟に乗って港町を目指し……国へ帰るつもりでいた。
勿論アリアドネを連れて。
なのにエルウィン達によって宿場町で追い詰められてしまい、戦闘の末エルウィンに敗れてしまった。
「くそっ! こんなことならもっと早くアリアドネを抱いていれば良かった!」
するとそこへ……。
「随分物騒な口を叩く奴だ」
地下牢に声が響き渡った。
「そ、その声は……」
カツーン
カツーン
足音が近づき、現れた人物を目にしたダリウスは声を上げた。
「エルウィン……ッ! それにスティーブか!」
「ダリウス……貴様、とんでもないことを口にしているようだな?」
エルウィンは憎しみを込めた目でダリウスを睨みつけた。
「大将、こいつ……叩き斬ってもいいですか?」
スティーブが剣を抜いた。
「よせ、やめておけ。スティーブ。大体お前がダリウスに手を出さないほうがいいと言っておきながら、一体何だ?」
「あ……すみません。奴の発言が許せなくて……」
スティーブは剣を収めながら頭を下げた。
そんな2人のやり取りを見ていたダリウスは忌々しげに口を開いた。
「一体……ここに何しに来た?」
「何しに来ただと? 人質のくせに随分ぞんざいな口を聞いてくれるものだ」
エルウィンは腕組みすると、床に座っているダリウスを睨みつけた。
「お前こそ『レビアス』の国王の犬のくせに……この俺を誰だと思っている? 俺は……!」
「『カフィア』小国の王族なのだろう? あの砂漠の国の」
「そうだっ! くそっ! 宿場町に寄りさえしなければ……お前たちに見つかることなく国に帰ることが出来たのに……! 『レビアス』を出れば完全に俺たちの行方を追うことは出来なくなるからな」
ダリウスは吐き捨てるように喚いた。
「お前、何を言ってるんだ? 自分で出身国の証拠になるものを部屋に残しておきながら」
スティーブの言葉にダリウスは首を傾げた。
「何だって? 一体何のことだ」
「貴様、自分で部屋に証拠を残しておきながら何を言う」
エルウィンの言葉に益々ダリウスの顔に困惑の色が浮かぶ。
「証拠って……一体それは何だ?」
「お前、自分で『カフィア』小国の紋章が描かれた紙片を暖炉の前に落としただろう?」
スティーブの言葉にダリウスは目を見開いた。
「何だとっ!? そんな話俺は知らないぞっ!」
ダリウスは叫ぶと立ち上がった。
「何? 本当か? その話は」
「当然だ! 考えても見ろっ! 何故俺がわざわざ自分の行き先をお前たちに告げるような真似をしなければならない!?」
眉をひそめるエルウィンにダリウスは言い放った。
「ふむ……確かに妙だな」
「言われてみればそうですね」
考え込むエルウィンとスティーブにダリウスはあることに気づいた。
「そうだ……分かったぞ。あいつだ……恐らくオズワルドの仕業に違いないっ! 俺は奴に何処の国からやってきたのか尋ねられたからな!」
「「何だってっ!?」」
エルウィンとスティーブは同時に声をあげた――
地下牢へ入れられたダリウスは忌々しげに呟いた。
本来であれば今頃はアリアドネを自分の物にしたうえで、隠していた小舟に乗って港町を目指し……国へ帰るつもりでいた。
勿論アリアドネを連れて。
なのにエルウィン達によって宿場町で追い詰められてしまい、戦闘の末エルウィンに敗れてしまった。
「くそっ! こんなことならもっと早くアリアドネを抱いていれば良かった!」
するとそこへ……。
「随分物騒な口を叩く奴だ」
地下牢に声が響き渡った。
「そ、その声は……」
カツーン
カツーン
足音が近づき、現れた人物を目にしたダリウスは声を上げた。
「エルウィン……ッ! それにスティーブか!」
「ダリウス……貴様、とんでもないことを口にしているようだな?」
エルウィンは憎しみを込めた目でダリウスを睨みつけた。
「大将、こいつ……叩き斬ってもいいですか?」
スティーブが剣を抜いた。
「よせ、やめておけ。スティーブ。大体お前がダリウスに手を出さないほうがいいと言っておきながら、一体何だ?」
「あ……すみません。奴の発言が許せなくて……」
スティーブは剣を収めながら頭を下げた。
そんな2人のやり取りを見ていたダリウスは忌々しげに口を開いた。
「一体……ここに何しに来た?」
「何しに来ただと? 人質のくせに随分ぞんざいな口を聞いてくれるものだ」
エルウィンは腕組みすると、床に座っているダリウスを睨みつけた。
「お前こそ『レビアス』の国王の犬のくせに……この俺を誰だと思っている? 俺は……!」
「『カフィア』小国の王族なのだろう? あの砂漠の国の」
「そうだっ! くそっ! 宿場町に寄りさえしなければ……お前たちに見つかることなく国に帰ることが出来たのに……! 『レビアス』を出れば完全に俺たちの行方を追うことは出来なくなるからな」
ダリウスは吐き捨てるように喚いた。
「お前、何を言ってるんだ? 自分で出身国の証拠になるものを部屋に残しておきながら」
スティーブの言葉にダリウスは首を傾げた。
「何だって? 一体何のことだ」
「貴様、自分で部屋に証拠を残しておきながら何を言う」
エルウィンの言葉に益々ダリウスの顔に困惑の色が浮かぶ。
「証拠って……一体それは何だ?」
「お前、自分で『カフィア』小国の紋章が描かれた紙片を暖炉の前に落としただろう?」
スティーブの言葉にダリウスは目を見開いた。
「何だとっ!? そんな話俺は知らないぞっ!」
ダリウスは叫ぶと立ち上がった。
「何? 本当か? その話は」
「当然だ! 考えても見ろっ! 何故俺がわざわざ自分の行き先をお前たちに告げるような真似をしなければならない!?」
眉をひそめるエルウィンにダリウスは言い放った。
「ふむ……確かに妙だな」
「言われてみればそうですね」
考え込むエルウィンとスティーブにダリウスはあることに気づいた。
「そうだ……分かったぞ。あいつだ……恐らくオズワルドの仕業に違いないっ! 俺は奴に何処の国からやってきたのか尋ねられたからな!」
「「何だってっ!?」」
エルウィンとスティーブは同時に声をあげた――