堅物弁護士が占い好きな私に恋を教えてくれました
「君の貯金は君自身のものだ。俺にとやかく言う権利はない。君がどうしてもあの男に貸したいと言うのなら、本来それは止められない」
「……はぁ」
「放っておけばいいんだよな。だって俺には関係ないんだから。だが、好きにしろとはどうしても言えない」

 考えが甘いとか、簡単に騙されるなとか、いろいろとお説教されるのだと思って自然と視線が下がっていたのだけれど。
 会話が止まって沈黙が流れたことで、私は不意に顔を上げた。

「犯罪の臭いがするんだ」
「そうとは限らないんじゃ……」

 気がつくと、目力を込めた視線で射貫かれていた。
 整いすぎているその顔に笑みはなく、ただ真剣さだけが伝わってくる。

「君が泣くとわかってるから、絶対に見過ごせない」

 いったい私はどうしてしまったのだろう。
 急激に胸がドキドキと高鳴って、顔が熱くなってきた。呼吸をするのも苦しいくらいに。

 きっと、羽瀬川先生がイケメンだからだ。カッコよすぎるせい。
 たいていの女性は先生に見つめられたらこうなると思う。

「もう一度連絡が来るんだろう? そんな会話が聞こえた」
「はい」
「それまでによく考えたほうがいい。とにかく、言われるままカネを渡すのだけはダメだ」
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