堅物弁護士が占い好きな私に恋を教えてくれました
「茅田さんの恋愛運は以前と比べたらとても上昇してきていますよ」
「先生が前回おっしゃっていた私の運命の男性のことなんですけど!」
「ええ、はい……」

 一ヶ月前に占ってもらったとき、実はとても具体的なことを告げられた。
 私は“六歳年上でしし座のAB型”の男性と相性がよく、恋人や結婚相手として縁ができるだろう、と宣言されたのだ。

「あのときは周りに思い当たる人がいないって言いましたけど、実はすでに出会ってたんです!」
「やはりそうなんですね。よかったです」

 その条件がピタリと揃う男性にはなかなか出会えないと思っていた。
 だけど桜小路先生の占いではそんなふうに出ていると言われ、漠然とした不安感でモヤモヤする日々を過ごしていた。
 
 そんな中、二ヶ月ほど前に偶然知り合った人のことをふと思い出した。
 同僚の森坂(もりさか)叶実(かなみ)と訪れた居酒屋の隣のテーブルにいた孝乃原(たかのはら)義典(よしのり)という男性だ。
 
 お酒が入って楽しく談笑していたときに、私は自分のグラスをうっかり倒してしまった。
 中に入っていた飲み物や氷が隣のテーブルの足元にまで広がり、彼の服や靴を汚してしまったという最悪の出会い方だったのだけれど。
 平謝りの私に孝乃原さんは怒りもせず、「いいよいいよ」と爽やかな笑みを向けてくれた。
 そのあと連絡先を交換し、何度か食事に行くうちに仲よくなり、先日ついに交際を申し込まれたのだ。

「知り合ったばかりだから血液型とか知らなかったんですけど、もしかして彼が運命の人なのかもと思って聞いてみたら、しし座のAB型で六歳年上でした!」

 興奮して声が大きくなったのが恥ずかしくて苦笑いをすると、桜小路先生はやさしい眼差しでフフフと笑った。

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