堅物弁護士が占い好きな私に恋を教えてくれました
「先生、私と彼はうまくいきますか？」

　先生は私の顔相をしっかりと見た上で手元の資料を確認し、小さくコクリとうなずいた。

「しかし……お相手の男性のこと、少々気難しいと思うところはありませんか？」

　気難しい？　孝乃原さんが？
　その質問にはふるふると首を横に振る。
　彼は明るくやさしい性格で、怒るどころか不機嫌な顔すら今まで一度も見たことはない。
　大げさに言うと、なんでも笑って許してくれそうな感じの人だ。

「お互いをよく知らないあいだは理解できないこともあるかもしれませんが、ふたりはきっとわかり合えるはずです。相性はバツグンですから」
「……はい」
「あ、気難しいとは感じていなかったんですよね。でも、もしもそういう場面に出くわしたら、私の言葉を思い出してくださいね」

　先生の忠告を聞いた私は大きくうなずいた。
　今後、もしも彼とケンカをしたとしても、互いを理解しようとする努力が大事ということだろう。わかり合って仲直りできるまで。

「あとは……恋愛とは関係ないですけど、少し運気が低下しているので気をつけてください」
「え？！　体調面とかですか？」
「それもですけど、トラブルに見舞われやすいと出ています」

　私はどこにでもいる二十五歳の会社員だ。これまでトラブルに遭遇した経験は一度もない。
　だけどその助言を素直に聞き入れた。先生の占いは当たると評判だけに、しっかりと心に留めておくほうがいい。

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