堅物弁護士が占い好きな私に恋を教えてくれました
◇◇◇
「と、いうわけなのよ」
翌日、お昼休みに会社の休憩スペースで昼食を取りつつ、叶実に桜小路先生の占いの話を聞いてもらった。
彼女は「ふぅ~ん」と気のない返事をしつつも、サンドイッチをかじりながらきちんと耳を傾けてくれている。
私たちは国枝紡績株式会社の社員で、ふたりとも総務部に所属している。
我が社は綿、絹、麻、羊毛等の天然素材を原料とした紡績糸の製造や販売をおこなっている会社だ。
業績は上々。働き方改革にも力を入れていて、社員のほとんどが居心地のよさを感じていると思う。
「でもさ、ほんとに驚いたわ。まさか孝乃原さんが静珂の理想の男性像にピッタリだったなんて」
「うん。これぞ運命って感じ。だからね、孝乃原さんと付き合ってみようと思うの」
満面の笑みを浮かべてそう言うと、叶実は一瞬眉をひそめて視線をはずした。
「え……ダメ?」
「ダメじゃないけどさぁ」
てっきり一緒によろこんでくれると思っていただけに、叶実の反応は予想外だ。
「そんなに迷いなく決めて大丈夫? 孝乃原さんってけっこうチャラそうだったし……」
彼はたしかにコミュニケーション能力は高そうだったけれど、それを叶実はチャラいと受け取ったみたい。
知り合った場所が居酒屋だったというのも、そういう印象が強くなった要因なのだろう。
「まぁでも、お試しで付き合ってみてもいいかもね」
「お、お試し?!」
「ダメなら別れればいいよ。って、静珂には無理か」
一瞬天を仰ぐようにして叶実が笑った。
自分の都合でくっ付いたり別れたり……そんな器用なまねは私にはできないと、彼女もわかっている。
「と、いうわけなのよ」
翌日、お昼休みに会社の休憩スペースで昼食を取りつつ、叶実に桜小路先生の占いの話を聞いてもらった。
彼女は「ふぅ~ん」と気のない返事をしつつも、サンドイッチをかじりながらきちんと耳を傾けてくれている。
私たちは国枝紡績株式会社の社員で、ふたりとも総務部に所属している。
我が社は綿、絹、麻、羊毛等の天然素材を原料とした紡績糸の製造や販売をおこなっている会社だ。
業績は上々。働き方改革にも力を入れていて、社員のほとんどが居心地のよさを感じていると思う。
「でもさ、ほんとに驚いたわ。まさか孝乃原さんが静珂の理想の男性像にピッタリだったなんて」
「うん。これぞ運命って感じ。だからね、孝乃原さんと付き合ってみようと思うの」
満面の笑みを浮かべてそう言うと、叶実は一瞬眉をひそめて視線をはずした。
「え……ダメ?」
「ダメじゃないけどさぁ」
てっきり一緒によろこんでくれると思っていただけに、叶実の反応は予想外だ。
「そんなに迷いなく決めて大丈夫? 孝乃原さんってけっこうチャラそうだったし……」
彼はたしかにコミュニケーション能力は高そうだったけれど、それを叶実はチャラいと受け取ったみたい。
知り合った場所が居酒屋だったというのも、そういう印象が強くなった要因なのだろう。
「まぁでも、お試しで付き合ってみてもいいかもね」
「お、お試し?!」
「ダメなら別れればいいよ。って、静珂には無理か」
一瞬天を仰ぐようにして叶実が笑った。
自分の都合でくっ付いたり別れたり……そんな器用なまねは私にはできないと、彼女もわかっている。