堅物弁護士が占い好きな私に恋を教えてくれました
「……先生?」
「いや、なんでもない。肝心の内容についてなんだが」
「はい」
「今週の土曜日、空いてる?」

 なんとなくだけれど、社内でできることだろうと予想していた私は見事に意表を突かれた。
 よく考えてみたら、仕事絡みならば同じ部署である法務部の同僚に頼むはず。

「急に聞かれても困るよな。予定があるなら……」
「大丈夫です! 空いてます。なにをお手伝いしたらいいですか?」

 羽瀬川先生のプライベートに関わるのだと思うと急に緊張が走る。
 でもこれは、私を信用してくれた証だ。だからできる限り協力したい。

「実はとあるパーティーがあるんだ。パートナー同伴で来るようにと言われているんだが、相手がいなくて困ってる。俺と一緒に行ってくれないかな」
「パーティー……」
「もちろん会場ではなにもしなくていい。終始俺の隣にいてくれるだけで」
「でも私、どういう服装で行けば……」

 友人の結婚披露パーティーに出席した経験はあるけれど、それとはまた場の雰囲気が違うと思う。
 そうなると迷うのは服装だ。ラフな格好はありえないとしても、反対に気合いを入れすぎたドレスを着て行って自分だけ浮く可能性もある。
 それに、いろいろ買い揃えるとしてもあと三日しかない。

「心配いらない。ドレスは俺が用意する。君は当日、身ひとつで来てくれたらいい」

 用意するってどうやって?
 そんな疑問が浮かんだが、便利なレンタルもあるし、彼にしてみればそれはどうにでもなるのだろう。
 私が自分で考えて悩みぬいた格好よりも、選んでくれたものを身につけるほうがよほどいい。

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