堅物弁護士が占い好きな私に恋を教えてくれました
「わかりました。お役に立てるかわかりませんが、お供させてください」

 軽く頭を下げながら笑みをたたえると、羽瀬川先生の表情が明るくなった。
 それだけでとてつもなくうれしくて、胸がドキドキと高鳴ってくる。

 しかし家に帰ったあと、あれこれ想像を膨らませる中で、私に大役が務まるだろうかとしだいに不安が押し寄せた。
 たしか羽瀬川先生は“パートナー同伴”だと言っていた。
 ということは、通常は妻や婚約者が一緒に行くものではないのかな。
 なのに恋人ですらない私がどんな顔をして出席すればいいのか……。
 しかし引き受けてしまったのだから、覚悟を決めて精一杯がんばらなきゃ。

「私はやれる! 必ず羽瀬川先生の役に立つ!」

 人間の思考の約八割はネガティブなのだと今日教わったばかりだというのに、ひとりになった途端、負の感情に襲われてしまった。
 だけどアファメーションを実行してみると、不思議と気持ちが前向きなものに変わる。
 弱気になっちゃダメ。先生の手助けをするんだから。

 翌日、絶対に他言無用だと念を押しつつ、叶実にパーティーのことを話した。
「なぜそんな流れに?」と聞かれたが、私自身もわからないから答えようがない。
 とにかくまた後日報告すると言って、納得してもらうしかなかった。

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