堅物弁護士が占い好きな私に恋を教えてくれました
「これってブランドものですか?」
「ああ。“モードクレア”のドレス」
「やっぱり。すごくオシャレですもんね」

 モードクレアは若者から大人まで人気のファッションブランドだ。
 生地も高級で、フォーマルなのに洗練されたデザインになっている。さすが老舗ブランドは違う。

「よかったら着て帰って」
「……はい。じゃあ、後日お返しを」
「いや。それは君のだよ」

 思わず口をあんぐりと開けて驚いてしまった。状況を飲み込めなくて、パチパチと瞬きを繰り返す。

「パーティーにモードクレアの御曹司が来るって聞いたから買った。返されても困るよ」
「でも、こんな高価なドレスをもらうわけには……」
「無理を言って来てもらったんだ。これくらいさせてほしい」

 モードクレアの御曹司に対して気遣いがあるのも本当だろうけれど、私のためにドレスを選んで購入してくれたのだと思うと胸がキュンとする。

「実はアクセサリーもある」

 おもむろに立ち上がった彼が目の前に立ち、右手でそっとなにかを渡す。
 それは、一粒ダイヤがついたネックレスだった。
 たしかに今着ているドレスとピッタリ合っていて、上品で素敵だけれど……

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