堅物弁護士が占い好きな私に恋を教えてくれました
「つけようか?」

 そう言うよりも先に、彼は私の後ろに回って素早くネックレスをつけてくれた。
 不意に彼の手がうなじに触れ、それだけでドキドキと鼓動が早まってくる。

「あ、あの……」
「もちろん、これも返さなくていい」
「先生……」

 背後から両肩に手を置いた彼が、くるりと私を反転させる。

「これも似合うな」

 胸元できらりと光るダイヤのネックレスを見つめて、羽瀬川先生が照れたような顔をした。
 心臓を鷲掴みされたようにドキドキが止まらなくて、彼から目が離せなくなる。
『私には分不相応な贈り物です』と言おうとしたけれど、彼の整った顔に見惚れてしまって言葉が出てこない。

「君のことだから、申し訳ないとか思っているんだろうけど」
「……はい」
「こういうときは、笑って『ありがとう』って言えばいいんだよ」

 頭の上に大きな手の平がポンと乗せられ、さらに大きくひとつ心臓が跳ねる。
 羽瀬川先生は静かにソファーのほうへ戻り、白いシャツの襟を立ててシャンパンゴールドのネクタイを締め始めた。
 その姿も本当にカッコよくて、私は釘付けにされてしまう。

 どうしよう。――――私は、羽瀬川先生が好きだ。

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