堅物弁護士が占い好きな私に恋を教えてくれました
「あ、副社長だ」
叶実がポツリとつぶやいたのをきっかけに視線を追うと、休憩スペースの先にある通路を歩く男性がふたり見えた。
ひとりは社長の長男である国枝勇気副社長。
もうひとりは法務チームに所属している羽瀬川亜蘭さんだ。
羽瀬川先生は弁護士資格を持っていて、我が社ではそれを活かした法律分野の仕事を担っている。
たとえば契約書の審査や、運営に対する法的支援、グループ会社の登記実務など、多岐にわたっているらしい。
「あのふたり、仲がいいよね」
「たしか、幼馴染なんでしょう?」
私の問いに叶実がウンウンとうなずいた。
とある弁護士事務所で勤務していた羽瀬川先生を、幼馴染の副社長が我が社に引っ張ってきて社員にしたという噂がある。
なんにせよ、今の羽瀬川先生は“インハウスローヤー”と呼ばれる企業内弁護士なのだ。
「しかし眼福。副社長もだけど、羽瀬川先生も相当なイケメンだよ」
遠目から眺めているだけだというのに、叶実の目がハートになっている。
いや、叶実だけではなく、周りにいるほかの女子社員も。
羽瀬川先生はシャープな輪郭に眼光鋭い瞳、高い鼻梁、真横に引き結んだ薄い唇の持ち主で、どのパーツもすべて整っている。
服装はいつも洒落たスリーピーススーツだ。高身長でスタイルのいい体格も相まって、自然と女子社員の視線を集めている。
「私もあのふたりなら、お試しとか期間限定でもいいから付き合いたいわ」
「え、どっちでもいいの? 叶実はてっきり副社長派かと思ってたけど」
「そうね。選ぶなんておこがましいけど、副社長派かな。静珂は羽瀬川派でしょ?」
いきなりそう問われ、ストローに口をつけていたパック入りのレモンティーを吹きそうになった。
叶実がポツリとつぶやいたのをきっかけに視線を追うと、休憩スペースの先にある通路を歩く男性がふたり見えた。
ひとりは社長の長男である国枝勇気副社長。
もうひとりは法務チームに所属している羽瀬川亜蘭さんだ。
羽瀬川先生は弁護士資格を持っていて、我が社ではそれを活かした法律分野の仕事を担っている。
たとえば契約書の審査や、運営に対する法的支援、グループ会社の登記実務など、多岐にわたっているらしい。
「あのふたり、仲がいいよね」
「たしか、幼馴染なんでしょう?」
私の問いに叶実がウンウンとうなずいた。
とある弁護士事務所で勤務していた羽瀬川先生を、幼馴染の副社長が我が社に引っ張ってきて社員にしたという噂がある。
なんにせよ、今の羽瀬川先生は“インハウスローヤー”と呼ばれる企業内弁護士なのだ。
「しかし眼福。副社長もだけど、羽瀬川先生も相当なイケメンだよ」
遠目から眺めているだけだというのに、叶実の目がハートになっている。
いや、叶実だけではなく、周りにいるほかの女子社員も。
羽瀬川先生はシャープな輪郭に眼光鋭い瞳、高い鼻梁、真横に引き結んだ薄い唇の持ち主で、どのパーツもすべて整っている。
服装はいつも洒落たスリーピーススーツだ。高身長でスタイルのいい体格も相まって、自然と女子社員の視線を集めている。
「私もあのふたりなら、お試しとか期間限定でもいいから付き合いたいわ」
「え、どっちでもいいの? 叶実はてっきり副社長派かと思ってたけど」
「そうね。選ぶなんておこがましいけど、副社長派かな。静珂は羽瀬川派でしょ?」
いきなりそう問われ、ストローに口をつけていたパック入りのレモンティーを吹きそうになった。