堅物弁護士が占い好きな私に恋を教えてくれました
「なんで?」
「だって、株主総会用の文書をチェックしてもらったとき、すごくていねいに教えてくれたって、うれしそうに話してたじゃないの」

 叶実が言ったのは先日の出来事だ。
 法務部へ赴いて、法的に問題がないかどうか細かく質問をしたら、羽瀬川先生は「メールでも済むのに」と言いつつ貴重な時間を割いて指導してくれた。
 性格はクールだと噂されている先生だけれど、私はそんなふうには思わない。真面目で仕事熱心なだけだろう。

「静珂はわかりやすいね」
「ええ?!」
「でも残念だったね。先生の生年月日、調べてみたけど理想とは違ったんでしょ?」

 苦笑いをしたまま小さくうなずいた。
 羽瀬川先生が運命の人だったらいいなと、ほんの少しだけ期待したのも事実。
 だけど必死になって調べるというほどのことはしていない。
 先月の社内報で彼が法律に関することを話していて、写真の下に生年月日や学歴などのプロフィールが載っていたのだ。

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