堅物弁護士が占い好きな私に恋を教えてくれました
今さら「どうかしたの?」と声をかけることもできず、コーヒーを飲む。ただ時間だけが過ぎていった。
彼女はいつまで待つつもりなのだろう? シンプルにそんな疑問が頭に浮かぶ。
すると彼女のもとへ小走りで近づいてくる男が現れた。ダークグリーンのシャツを着たその男に、俺は瞬間的に嫌悪感を覚えた。
俺の中にある第六感が“うさんくさい”と警鐘を鳴らしたのだ。
ふたりの会話を聞くのはマナー違反だとわかっているものの、後ろからの声を耳が拾おうとするのだから仕方がない。
「じゃあ、今日から俺は静珂ちゃんの彼氏だ。よろしくね」
「よ、よろしくお願いします」
「照れてるの? かわいいな」
なぜこんな男と付き合うのか俺にはわからない。
恋は盲目というが、あとで彼女が泣かなければいいけれど。
そんなふうに考えつつ、まったく関係のない俺が心配するのはおかしいと気づいた。
恋愛の価値観は人それぞれ違うのだから、彼女が交際したいのなら止めることはできない。
「実は俺の仲間が……資金調達に手間取っててさ」
馬鹿馬鹿しくなってきて、そろそろ帰ろうとしたとき、男が口にしたその言葉が俺をこの場にとどまらせた。
「二百万円投資をしてもらえるはずだったんだけど無理になって。マジで困ってるんだよね」
「そう、なんだ」
「静珂ちゃん……俺に貸したりできないかな?」
思わず小さく溜め息が漏れる。男がわかりやすく本性を現した瞬間だった。
どことなく怪しいと感じた俺の直感は当たっていた。これはおそらく恋愛を絡めた詐欺だ。
彼女はいつまで待つつもりなのだろう? シンプルにそんな疑問が頭に浮かぶ。
すると彼女のもとへ小走りで近づいてくる男が現れた。ダークグリーンのシャツを着たその男に、俺は瞬間的に嫌悪感を覚えた。
俺の中にある第六感が“うさんくさい”と警鐘を鳴らしたのだ。
ふたりの会話を聞くのはマナー違反だとわかっているものの、後ろからの声を耳が拾おうとするのだから仕方がない。
「じゃあ、今日から俺は静珂ちゃんの彼氏だ。よろしくね」
「よ、よろしくお願いします」
「照れてるの? かわいいな」
なぜこんな男と付き合うのか俺にはわからない。
恋は盲目というが、あとで彼女が泣かなければいいけれど。
そんなふうに考えつつ、まったく関係のない俺が心配するのはおかしいと気づいた。
恋愛の価値観は人それぞれ違うのだから、彼女が交際したいのなら止めることはできない。
「実は俺の仲間が……資金調達に手間取っててさ」
馬鹿馬鹿しくなってきて、そろそろ帰ろうとしたとき、男が口にしたその言葉が俺をこの場にとどまらせた。
「二百万円投資をしてもらえるはずだったんだけど無理になって。マジで困ってるんだよね」
「そう、なんだ」
「静珂ちゃん……俺に貸したりできないかな?」
思わず小さく溜め息が漏れる。男がわかりやすく本性を現した瞬間だった。
どことなく怪しいと感じた俺の直感は当たっていた。これはおそらく恋愛を絡めた詐欺だ。