堅物弁護士が占い好きな私に恋を教えてくれました
§5.運命の相手
◇◇◇

 この日、仕事を終えた私は予定の時間に遅れそうになり、大急ぎで職場を出た。
 あわてて向かった先は占い館・ブルーム。
 ずいぶん前に取った予約なのだけれど、今日ようやく占ってもらえる日を迎えた。

「茅田さん、こんばんは」

 部屋に入ると桜小路先生が椅子に座ったまま会釈をしてくれた。
 赤いネイルとリップが映えていて今日も美しい。
 いつものように先生の正面の椅子に腰を下ろし、背筋を正す。

「今日も二十分でいいかしら?」
「はい」
「なにか……悩みごとがありそうですね」

 その言葉に驚いて、伏せていた視線を上げて先生を凝視した。

「さすが桜小路先生ですね。もうわかっちゃうんですか?」

 目を点にして尋ねる私に微笑みつつ、先生は小さく首を横に振った。
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