堅物弁護士が占い好きな私に恋を教えてくれました
「違います。今日の茅田さんはどことなく元気がない感じがしたからです。私じゃなくても、誰でもわかりますよ」

 そんなにも態度に出ていたなんて自分では気づいていなくて、恥ずかしさが込み上げてくる。
 今現在、悩みごとがあるのはたしかだ。
 今日は先生にそれを打ち明けて、正直な意見を言ってもらいたい。

「私の運命のお相手なんですが、以前の条件と変わっていませんか?」
「はい。“六歳年上でしし座のAB型の男性”ですね。今も変わりはありません」
「そう、ですか」

 思わず下唇を噛んでうつむいてしまった。
 その様子を見た桜小路先生から、心配そうに「あの……」と声をかけられてハッとする。

「実は……以前お話させてもらった男性は違ったんです。年齢も誕生日も血液型も、すべてウソをつかれていて」

 順を追って話すなら、孝乃原さんとはもう終わったと説明しておかなければならない。
 正確には始まってもいなかったのだけれど。

「危うくお金を騙し取られるところでした。でも、そのときに助けてくれた男性がいるんです。私は彼にどんどん惹かれていって、止められなくなってて……」
「本気で好きになったんですね」
「はい」

 自制が効かないと自覚できるくらい、私は羽瀬川先生が好きだ。
 彼と一夜を共にして、さらに思いが強くなった。
 たとえ先のない恋だとしても、自分の気持ちにウソはつきたくない。
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