堅物弁護士が占い好きな私に恋を教えてくれました
 あの夜のことを指摘されている気がする。探られているのかな。
 とぼけるのも変だと思うものの、恥ずかしいからこの場はなんとなくやりすごして逃げておこう。
 もしも「泊まったんだよね?」とダイレクトに聞かれたら、ウソはつけないけれど。

「今度、ロイヤルスイートにも招待しようか」

 予想とは違う言葉が返ってきたせいでポカンとしてしたら、副社長が一歩近づいて私との距離を詰めた。

「……ロイヤルスイート?」
「そう。俺はホテルの最上階から見る夜景が好きなんだよね。ものすごく綺麗だよ? 今度一緒にどう?」
「あの……どういう意図で……」

 言葉を選びながら戸惑っていると、副社長は綺麗な顔でフフッと笑った。どういうお誘いなのかまったくわからない。

「だから、俺とホテルで過ごさないかってこと。ふたりきりで朝まで」
「なにをおっしゃってるのか……」
「亜蘭には内緒でいいじゃん。ていうか、俺に乗り換えるのもアリだと思わない?」

 今まで感じたことのない嫌悪感を覚えた私は、無意識に後ずさりした。
 近い距離にいたら肩を抱かれそうで怖くなったのだ。
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