夏が消えてゆく



Dear ふゆ


俺はいま、手紙を書こうとしてます。
いやもう、もはやこの情報も本当は要らないんだろうけど、もういいや。失敗しすぎて便箋の残り枚数が少ないのでもうこのまま書く。


また明日、ってさっきの俺は言ったかもしれないけど、ごめん。もうおはようは交わせない。

俺の最後の言葉、ちゃんと聞いててくれた?


数日前、父さんが亡くなりました。
県外に出て働くことにしました。
一足先に社会人になるわー。
社会人って何すんだろ、仕事か 笑
高校生から社会人になるってどんな感じなんだろ。わかんねー。ま、ゆっくり追いついてこいよな。


あー、もう無理、書きたいこと上手くまとまんねー。もういいや。


ふゆ、きっとお前は黙っていなくなった俺の事を許せないって大泣きするんだろうけど、その涙を拭うのは俺だけが良かったななんてわがままを今だけ許してください。


きっともう、生まれ育った場所には帰ることがないだろうけど、見守っているから。


だからどうか、
幸せんなれよ。





















< 28 / 29 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop