夏が消えてゆく
「 夏稀のばーか 」
小さく小さく呟いた夏稀への不満を直接言えなかったのは、胸の中にある小さなつっかえの正体に知らないふりをしていた、じぶんのせい。
「 三峰〜戻ってこーい 」
「 佐藤うるさいよ、ハゲるよ 」
「 お前がうるせぇ、あと年頃の男性に向かってハゲるとか言うな! 」
うそ。
やっぱり
「 授業が全く進んでませんよさとーせんせー 」
「 なんか珍しく須藤が生意気だな 」
「 俺頭はいいんで 」
「 お願いだから夏稀1回滅びて! 」
「 ばかふゆ 」
きみのせい。
( 本当に星を見に行きたかったんだよ )