闇にまぎれた蛍
もちろんその隙をついて私は奏の手から離れた
奏はさっきよりも悲しそうな顔をして私を見ていた
……ちょっと可哀相かも………
私はクルリと奏に背を向けて歩き出した
途中私は一度止まって奏を見た
「………夜魅」
「……えっ?」
奏は私がいきなり話しだしたから少し驚いている
私はそれを見てフッと笑った
「……忘れたの?名前…聞いてきたでしょ?」
「……あっ…」
私はまだ困惑ぎみの奏に今度はニッコリと笑いかけて言った
「私の名は夜魅。夜に魅せられると書いて夜魅よ」